なぜ日本の為替業者は狭いスプレッドを設定できるのか?
日本と海外のFX会社を比較すると、スプレッドの違いが大きくなっているのが特徴的ですが、この理由を紹介するためには、FX取引の仕組みについて知らなければいけません。
一般的なユーザーの視点は、FX会社に開設した口座に現金を入金して、その資金を使って取引をするというイメージを持っています。つまり、「FX会社がユーザーと直接的に取引をして、相場の変動に合わせて資金のやり取りをしている」と考えている人が多いということです。
これは大きな間違いであり、FX会社は原則として「取引を成立させるための仲介業者」でしかありません。FX取引の仕組みについてみていきましょう。
FXでの取引が成立する仕組みについて
FXの取引はインターバンク市場で行われます。インターバンク市場というのは特定の場所のことを指すのではなく、情報通信端末や電子取引システムなどを通じて取引が行われることになります。
FX会社はユーザーから集めた資金をインターバンク市場で取引して、取引の結果をユーザーへ返しているだけなので、FX会社自体が相場を動かしていることはありません。簡単にイメージすると、下記のような流れになります。
1. FX会社はユーザーが取引をした資金を集めてインターバンク市場で取引をする
2. 取引の結果に応じてユーザーへ資金の返金または回収を行う
3. 1と2を繰り返す
これがFX取引の概要です。ユーザーから集めた資金のすべてをインターバンク市場へ流すとFX会社の取り分(利益)が無くなるので、FX会社はスプレッドを設定することで差分の利益を得ているという仕組みです。
インターバンク市場にもスプレッドは設定されている
上記では「FX会社はスプレッドを設定することによって差分を利益としている」と紹介しましたが、スプレッドを設定しているのはFX会社だけではなくインターバンク市場も同じです。
一般的に、インターバンク市場で設けられているスプレッドの広さは米ドル/日本円で0.1銭~0.8銭程度とされています。海外のFX業者ではスプレッドが1.1銭~2.0銭程度に設定されているために、スプレッドの差額を利益として受け取っていることがよく分かります。
しかし、日本のFX会社の場合は米ドル/日本円のスプレッドが無料もしくは0.2銭程度の狭さとなっていることが多く、単純に計算をしても取引をすればするだけFX会社がマイナスとなる仕組みです。
ちなみにですが、FXが日本に導入された頃はスプレッドが5.0銭~7.0銭程度に設定されていたことが多いので、FX会社がどれほど儲けていたのかということが理解できるでしょう。
インターバンク市場でのスプレッドは固定ではなく、取引量や時間帯によって変動する仕組みになっています。通常はロンドン市場が開く時間帯が活発に取引される傾向にあるためにスプレッドは広い傾向にあります。