(※写真はイメージです/PIXTA)

国立障害者リハビリテーションセンターの発表では、吃音(きつおん)症になる確率は幼児期で8%前後とされています。話し言葉がリズムよく滑らかに出ないことを周囲から馬鹿にされたり注意されたりすることで、自分でも「うまく言えないかもしれない」という不安が大きくなり、悪化してしまうケースも少なくありません。周りから理解されにくい吃音症、保護者はどのように向き合うべきでしょうか。小児科医の米田真紀子氏に伺います。

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突然言葉に詰まるように…吃音(きつおん)症とは

吃音症とは、話し言葉がリズムよく滑らかに出ないという発話障害のひとつで、医学的には流暢障害と呼ばれる病態です。

 

ひとくちに流暢に喋ることができない、といってもいろいろな詰まり方がありますが、大きく3つに分けることができます。

 

1.繰り返し

繰り返しとは、「こ、こここんにちは」というように、言葉の最初の部分の発音を数回繰り返します。

 

2.引き伸ばし

引き伸ばしといは、「こ――んにちは」「k――おんにちは」というように、最初の1音(あるいは子音)が伸びてしまい次の音が続いていかない状態です。

 

3.出にくさ

出にくさとは、「――っこんにちは」というように、最初の一語が流暢に出てこない状態を指します。

 

1つめと2つめは、第1音が早く出すぎるために、後の発音が続かない状態で、最後の3つ目はそもそも最初の音がなかなか出てきません。

 

吃音には、発達の過程で生じるもの(発達性吃音)と、一時はできていたものが、何かの理由で急にできなくなってしまうもの(獲得性吃音)とがありますが、9割は前者と言われており、幼児期に発症します。

発達性吃音について分かっていること

発達性吃音(以降、吃音)は、言葉を話したいという欲求と、言葉を発するために口の周りや喉、舌などを複雑に動かすということがうまく連動しないために起こります。

 

よって、2語文を話しだす2歳前後から、少し複雑な文章を話すようになる5歳前後までの発症がほとんどです。

 

吃音の発症率は子どもの8%前後で、言い換えれば100人の子どもがいれば、8人程度が発達性吃音に当てはまりますが、そのうち7~8割は自然に治るとも言われています。また、女の子より男の子のほうが、2倍以上発症率が高いとも言われています。

 

吃音になる子どもは、はじめのうちは軽い繰り返し症状が出ることが多いですが、仮にうまくしゃべることができなくてもまだ小さいから当たり前、と周囲も思っているので問題ありません。

 

しかし、ある程度成長すると、周囲から馬鹿にされたり注意されたり、嫌な思い出が積み重なっていきます。

 

自分でも「うまく言えないかもしれない」という不安が大きくなり、次第に頻度も増え、症状が固定化されていきます。繊細で失敗を恐れやすい生来の特性があれば、悪化しやすいとも言われています。

 

また、多くの場合、吃音症状には変動があります。家でリラックスできているときや、独り言を言っているとき、歌を歌ったりするときなどには吃音は出にくくなりますが、緊張したり感情が大きく高ぶったりする場合は吃音が出やすくなります。

 

さらに、家族内で多発することもあり遺伝的な要因も関係していると言われていますが、吃音症が伝染することはありません。

 

人によっては、目をぱちぱちさせたり、手足で拍子をとったり、自分なりに吃音の出にくい状況を作って話す人もいて、こうした動きも吃音症の症状だと言われています。

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『こどもKARADAs』から転載したものです。