(※写真はイメージです/PIXTA)

国立障害者リハビリテーションセンターの発表では、吃音(きつおん)症になる確率は幼児期で8%前後とされています。話し言葉がリズムよく滑らかに出ないことを周囲から馬鹿にされたり注意されたりすることで、自分でも「うまく言えないかもしれない」という不安が大きくなり、悪化してしまうケースも少なくありません。周りから理解されにくい吃音症、保護者はどのように向き合うべきでしょうか。小児科医の米田真紀子氏に伺います。

子どもが吃音症を発症したときの対処法

前述の通り、吃音の多くは発達の過程のアンバランスから生じるものなので、その子なりの発達の凸凹が改善されていけば、7〜8割は学童期に入るまでに自然に改善します。

 

しかし、逆に言えば残りの2〜3割はそれ以降も症状が続き、長引けば長引くほど不安が強くなり治りにくくなります。

 

以前は、吃音は親の育て方や関わり方に問題があると言われていましたが、その後研究が進み、子どもの特性による要因が大きいことが分かってきました。

 

吃音症の子どもは周囲からは焦って話しているように見えるため、「落ち着いて」「ゆっくり話して」というアドバイスをしてしまいがちですが、アドバイスを受けることによってさらに話しにくさを意識してしまい、症状が悪化することがあります。

 

うまくしゃべることができるようにアドバイスするよりは、大人がゆっくりのテンポ合わせてあげることや、子どもの話を最後まで聞いてから、内容をまとめてフィードバックしてあげることが大切です。

 

話すことへの恐怖心が軽減され、コミュニケーションを楽しむようになることが出来れば、自然と良い方向に向かっていきます。

 

また、以前は吃音を本人に指摘しない方がいいと言われていましたが、子ども自身がしゃべりにくさを訴えてくる場合には「変じゃないよ」「ちゃんとしゃべれているよ」などと否定せず、「そうだね」「しゃべりにくいんだね」と共感してあげることも重要です。

 

一般的に吃音症の子どもは、なるべく早期に言語聴覚士によることばのリハビリを受けたほうがよいとされていますが、幼児期の吃音は自然に治ることも多いので、いつまで様子を見るべきか、迷う保護者がいるかもしれません。

 

相談の目安は、「本人が困っているかどうか」。吃音を自覚して人前で話すことを怖がったり、力が入りすぎたりするような、不自然な話し方が目立つ場合は地域の発達支援センターに相談しましょう。

 

通常、ことばのリハビリを開始してから吃音が治るまでに1年以上かかることが多く、また8歳を超えると治癒率も下がるとも言われているので、4〜5歳の時点で吃音があれば、相談するべきと思います。

 

 

米田 真紀子

小児科医

医療法人 啓信会きづ川クリニック

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『こどもKARADAs』から転載したものです。