本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年11月9日に公開したレポートを転載したものです。
オストロゴルスキーのパラドックス-少数派が多数決で勝つにはどうしたらよいか? (写真はイメージです/PIXTA)

反対派の3人に対する説得工作

そこで、Aさんと、Bさんは、パーティーを開くお店を決めるにあたって、何がポイントになるか、をいろいろと検討してみた。

 

―「やはり、料理がお酒に合うことは欠かせない。いろいろなお酒に合う料理がよいだろう。」
―「それと、お店の雰囲気も大事。店内がうるさ過ぎると、会話がしづらくなる。」
―「さらに、コスパも重要だ。値段があまり高いと、せっかくのパーティーの楽しみが半減する。」

 

これら3つのポイントを胸に、Aさんと、Bさんは、洋風派の3人に対する説得工作を開始した。

 

まず、2人は、Cさんと話をした。

 

「料理がお酒に合うかどうか、がポイントだ。日本酒や焼酎からワインまで、幅広いお酒に合うという点で、和食が中心の、和風レストランの方がいい。」

 

Cさんは、その考えに納得した。Cさんは雰囲気やコスパの点では洋風レストランの方がいいと思っているが、2人の説得により、料理については、和風の方がいい、と考えるようになった。

 

次に、2人は、Dさんと話をした。

 

「パーティーを開く以上、お店の雰囲気が大切だ。洋風レストランは店内が騒がしいことがあって、話がしづらいかもしれない。その点、和風レストランはいつも静かで、落ち着いて話ができる。」

 

Dさんは、その考えを理解した。Dさんは、洋食が好みで、コスパも洋風レストランの方がいいと思っているが、雰囲気に関しては、和風の方がいい、と少し意見を変えた。

 

最後に、2人は、Eさんと話をした。

 

「いくら、いい雰囲気でおいしいものを味わっても、値段が高過ぎると、楽しみが半減する。和風レストランには、ドリンク飲み放題のプランがあり、それを頼めば割安で楽しむことができる。」

 

Eさんは、その考えに同意した。Eさんは、料理、雰囲気については洋風派のままだが、コスパの点では、和風の方がよい、と少し気が変わった。