平均給与は大企業並みといわれ、羨望の眼差しを受けることも多い国家公務員。一方で「もう働けない」とギブアップの声が聞こえてくることもしばしば。国家公務員の実態を、人事院の資料からみていきます。
もう働けない…「手取り額30万円」国家公務員、長時間労働に疲弊 (※写真はイメージです/PIXTA)

「官僚志望」…5年連続減少で過去最低を記録

では国家公務員は給与をもらいすぎなのでしょうか。前述のとおり対象が28万人もいますから、「楽な仕事」をしているように見られる人も中にはいるかもしれません。しかし国家運営に携わる仕事です。重責もあるでしょう。さらに人員が確保されなければ、当然日本が成り立たなくなってしまいます。ある程度「魅力的な給与」でなければならない側面はあるでしょう。

 

しかし昨今、「国家公務員の志望者の減少」が問題になっています。実際、2021年の春に実施した国家公務員採用試験で幹部候補となる総合職(大学院修了・大卒程度)の申込者数は前年比14.5%減の1万4,310人。減少は5年連続で、申込者数は過去最少でした。

 

その要因のひとつにあげられるのが、長時間勤務。人事院『令和3年人事院勧告』によると、他律的業務の比重が高い部署(他律部署)の職員の8.7%は、上限を超えて超過勤務を命じられ、本府省の他律部署」に限ると15.7%に上ります。超過時間をみてみると、1ヵ月に100時間未満の上限を超えた職員が7.8%、2~6ヵ月平均で80時間以下の上限を超えた職員が10.4%でした。

 

夜、官庁街を歩いていて「こんな時間まで働いているんだ……」と驚いたことのある人もいるのではないでしょうか。すべての国家公務員が長時間労働を強いられているわけではありませんが、「給与に見合わない」と感じている職員は多く、その負のイメージが「官僚離れ」に影響しているのでしょう。

 

人事院は、今年、就職活動を終えた大学生等を対象に、国家公務員を志望しなかった理由を尋ねる実態調査に乗り出すとしています。優秀な人材が国家公務員を志せば、良い影響がわれわれ、国民にも返ってくるはず。以前のように「官僚」が人気の職業に返り咲くことが、閉塞感広がる現状を打破するきっかけになるかもしれません。