中山てつや氏は著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場における諸問題について語っています。本記事では、中山氏のキャリアコンサルティングとしての実務経験をもとに、日本の企業における問題点を考察していきます。今回は、「上司との上手な付き合い方」について、見ていきましょう。
上司が帰るまで「付き合い残業」という悪しき風習…割り切りも一つの処世術なのか (※画像はイメージです/PIXTA)

 

「でも、同僚の彼は早く帰っているじゃない?」

「ああ、あの人ですか。あの方は上長とは長い付き合いで、きっと気心知れた仲だから、大丈夫なんですよ」

「なるほど、そういうことか」

 

冷静に振り返ると、明らかに「理不尽」なことです。納得できないのなら、上司と直談判という手もあります。しかし、上司の方針である以上、少なくとも、ある程度の人間関係ができあがるまでは、従ったほうが「身のため」です。以降は割り切って、上司が帰るまで「付き合い残業」を決め込みました。

「付き合い休日出勤」を割り切るのも一つの処世術

土曜日出社についても、同じような経験があります。その部署の責任者は、ほぼ毎週、決まって土曜日にも出社していました。

 

部下に対しても、「今週の土曜はどうするんだ?」と聞いてきます。当然のことながら、返事はひとつ、

 

「もちろん出勤です!」

 

となるわけです(「そう言わされていた」というほうが、適切な表現かもしれません)。

 

はたして、土曜日がくるたびに社員一同、雁首揃えて私服で出社し、特にやることもない職場で、何となく過ごします。

 

「それじゃ、先に帰るぞ」

 

責任者が部屋から出るのを見届けるやいなや、

 

「待ってました!」

 

とばかり、皆、そそくさと帰路につくのです。昨今は、このような「付き合い残業」や「付き合い休日出勤」は減っているのかもしれませんが(そう願っております)、過去には、間違いなく、至るところで「存在」していました。

 

まだ残っているとしたら、実に由々しき事態です。早急に改善してもらう必要があります。

 

しかし、こればかりは部下ひとりの力では、どうしようもありません。人事権を有する上司が、そのスタイルを踏襲する以上、ここはひとつ割り切って「ギリギリのお付き合い」にチャレンジする、という選択肢もあります。

 

あくまでも、次善の策としてですが。

 

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中山てつや

1956年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。日系製造メーカー及び外資系IT企業を経て、主にグローバル人材を対象としたキャリアコンサルティングの仕事に携わる。