「正社員として働きたい……」。そう願っても、なかなか実現できない人が今日の日本には多く、非正社員の人口は増加傾向にあります。「正社員」と「非正社員」、その賃金格差などを見ていきます。
給与格差500万円…「正社員になれない非正社員」の哀しすぎる現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

フルタイムで働きたいのに…「非自発的パートタイム」を世界と比べてみると

雇用形態による給与格差。あえて非正社員を選んでいるのであればなんの問題もありませんが、好き好んで非正社員を続けているわけではない人が大勢いる、というのは問題です。

 

OECD(経済協力開発機構)のまとめによると、世界の主要国(42ヵ国)で最も「非自発的パートタイム(=パートタイム就業者のうち、フルタイム就業の職が見つからず、やむなくパートタイム就業している労働者)」が多いのは「イタリア」で64.50%。「ギリシャ」「キプロス」「スペイン」「ルーマニア」と続きます。「日本」は第20位で21.25%。G7のなかでは、「イタリア」「フランス」「カナダ」、そして「日本」と続きます。さらに「イギリス」は11.65%、「ドイツ」は8.49%、「米国」は4.43%です(関連記事:『本当はフルタイムで働きたい!世界「非自発的パートタイム労働者率」調査』)。

 

この数字、そしてこの順位。「世界からみたら、日本はまだまし」と捉えるか、それとも問題視するかは人それぞれでしょう。ただ、パートタイムで働く5人に1人は、フルタイムで働きたいのに……と考えている人たちです。

 

今回、パートタイム就業者での比較でしたが、非正社員で考えると、さらにその数は増えるかもしれません。日本ではバブル崩壊後、「就職氷河期」と呼ばれる就職困難の時代がありました。有効求人倍率は1を下回り、大学を卒業しても正社員になれず、仕方なく、フリーターや派遣社員となった人が大勢いたのです。

 

長引く就職難。そんな時代も終わったと思ったら、規制緩和によって企業は正社員よりも非正社員を積極的に採用する時代へ。正社員になれず低収入に甘んじている人はかなりの数にのぼると考えられるのです。

 

10月31日、衆議院の投票日。各政党とも所得をあげる政策を掲げています。どのような結果であれ、「正社員になりたいのに……」という人が報われる社会になることを願うばかりです。