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「怠け癖」と誤解される「起立性調整障害」
「起立性調節障害」という疾患をお聞きになったことはありますでしょうか?
概要としては、思春期のお子さんが、朝、起こしているにもかかわらず起きられない、朝食をとれず学校へ行けない、立ちくらみや頭痛が持続する、倦怠感が強いという自律神経失調症に似ていて、見方を変えると「怠けている」と誤認されてしまうケースもあります。
この疾患は、体の運動機能、気分、知覚などを含めた自律神経のスイッチが、朝にうまく切り替わらない、自律神経機能不全の1つ(体質的なもの)と考えられています。
好発年齢は小学校高学年から中学生・高校生で、女子の方が男子よりも発症頻度は高いです。
これまでは、本疾患は無治療であっても身体的・社会的にはおおむね予後は良いとされていましたが、近年の報告では、重症例では自律神経による循環調節障害(とくに脳や上半身への持続的な血流低下)によって、成人後でも日常生活が著しく損なわれることが示唆されました。
同時に、無治療の場合では、長期の不登校からひきこもりを起こし、学校生活・社会復帰に関しては大きく支障が生じることも判明しています。
このため、本疾患の早期発見と早期治療・家庭生活や学校生活での環境調整による配慮を行うことにより、症状の悪化を予防できる可能性が示唆されました。
近年の傾向としては、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、外出自粛と運動不足により起立性調節障害の発見が遅れ、症状の悪化が懸念されています。