史上稀にみる短期決戦となっている「第49回衆議院選挙」。10月31日の投票に向けて舌戦が繰り広げられていますが、有権者の盛り上がりは、いまひとつ、といったところ。なぜ日本人は選挙に興味・関心が薄いのでしょうか?
選挙に行っても給与は上がらず…衆議院選の影に潜む「会社員の絶望」 (※写真はイメージです/PIXTA)

30年間、会社員の給与は上がらず…政治に期待したいところだが

若年層の投票率が問題になりがちですが、前回選挙で、最も投票率が高かった60代でも72.04%。約3割は投票していないという状況です。

 

――そもそも選挙に行かないなんて言語道断

――選挙に行かず、それで政治批判をするのはおかしい

 

いろいろな考え方があるでしょう。

 

それにしても、なぜ日本の選挙の投票率はこれほどまでに低いのでしょうか。さまざまな意見があるでしょうが、「政治への諦め」が低投票率を招いているのではないでしょうか。

 

たとえば、会社員の平均給与。バブル崩壊前の1990年、会社員の平均給与は425万2,000円。戦後、ずっと増え続けてきた会社員の平均給与が、はじめて減少に転じたのは、バブル崩壊後の1993年。その後、不良債権問題、ITバブル崩壊、リーマンショックに見舞われ、平均給与は2009年、400万円を切る寸前まで落ち込みました。

 

その後、アベノミクスやインバウンド需要の増加などもあり、2013年から2018年は前年比プラスを記録するものの、2020年、会社員の平均給与は433万円と、30年前と同じ水準。その間、いくども選挙が行われ、政治に希望を託しましたが、状況が好転することはありませんでした(関連記事:『会社員の「平均給与」2年連続減…4割が「年収300万円以下」の衝撃』)。

 

――選挙に行っても、政治は変わらないでしょ

――投票しても、生活が楽になるわけじゃないし

 

そのように、諦めムードから、有権者は選挙から遠ざかっているのではないでしょうか。

 

今回の選挙は、コロナ禍以降の私たちの暮らしを左右するもの、といわれていますが、政治への期待を取り戻せるかどうかも占うものになっています。