投資を始めたいけど、絶対に損はしたくない! そんな人には、インデックスファンドへの長期投資がオススメです。本記事では、元銀行員YouTuberの筆者が、リスクとリターンの観点から米国S&P500の過去データを基に、インデックスファンドへの長期投資が手堅い理由を説明します。資産形成の超初心者・ペンタごんと一緒に学んでいきましょう。※本連載は、小林亮平氏の著書『これだけやれば大丈夫!お金の不安がなくなる資産形成1年生』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。
「インデックスファンドへの長期投資」が鉄板と言われる理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

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リスクとは「リターンの振れ幅」…“危険性”ではない

ペンタごん:投資には損するリスクがあると思うと…どうしても怖くなっちゃうなあ。

 

亮平さん:投資のリスクについてちゃんと理解すれば、その不安も減ってくるはずだよ。たとえばペンタごんは、ゲームアプリは好きだったよね。ロールプレイングゲームをやっていて、強い敵と戦う事になったらどうする?

 

ペンタごん:そりゃ~何とか頑張って倒そうとするさ! 強い敵は経験値がたくさんもらえたりするからね。

 

亮平さん:投資におけるリスクも、そのイメージが近いんだ。強い敵だと負ける可能性も高くなるけど、倒した時の経験値が大きいからレベルアップしやすくなるよね。一方で弱い敵だと、負ける可能性は低くなるけど、得られる経験値は小さいからレベルアップしづらくなるね。

 

リスクというと危険性のような意味合いで捉えがちだけど、投資の世界では、このように得られるリターン(利益)の振れ幅のことを指すんだ。

 

リスクが大きい投資信託とリスクが小さい投資信託があるとして、両者を比較すると値動きの幅が違うことが分かるよ(図表1)。

 

イラスト:さーつるに
[図表1]リスクとリターンのイメージを掴もう イラスト:さーつるに

 

ペンタごん:たしかに、リスクが大きいとそれだけ値動きが激しくなっているから、たくさん儲かる時もあれば大きく損する時もあるってことか。

 

亮平さん:このようにリスクとリターンは、表裏一体の関係にあるから、リスクがあるのが一概に悪いこととは言えないんだ。

 

リスクが大きなものほどリターンが大きい(ハイリスク・ハイリターン)し、リスクが小さいものほどリターンが小さい(ローリスク・ローリターン)傾向があるからね。

 

ペンタごん:ふ~む…じゃあリスクなしでハイリターンな商品なんて、やっぱりないの? この前、とあるカフェで、毎月お金が2倍に増えて、絶対に損しない極秘投資話を耳にして興味があったんだけどな~。

 

亮平さん:(ペンタごん、怪しい投資話に引っ掛かりそうになってるな…)

 

そういうものは基本的にはないと思ってね。リスクがあるからこそ、それに見合うリターンが期待できるんだよ。

 

このリスクの要因は様々で、株式なら企業の業績などにより株価が上下する価格変動リスクがあるよ。また、全世界株式や米国株式のような海外への投資は、日本円と外国通貨を交換する際の為替レートが変動する為替リスクなどもあるね。

 

ペンタごん:リスクとリターンはセットみたいなものなんだね。

実際のリスク、リターンはどれくらい?

亮平さん:米国の代表的な株価指数S&P500を例にして、過去のリスクとリターンから、将来期待できる損益を計算してみようか。

 

統計学によると、約68%の確率で「リターン±リスク」、約95%の確率で「リターン±リスク×2倍」に収まると言われているんだ。

 

ペンタごん:と…統計学…。眠気に襲われちゃうから、難しい話はパスでお願いします…。

 

亮平さん:イメージだけ掴んでおけばOKだから、寝ないで聞いててね。たとえば、過去のデータから期待リターンが+6%、リスクが19%にて計算すると、約68%の確率で損益は-13%(+6% -19%)から+25%(+6% +19%)に収まるよ。

 

また、リスクを2倍にして考えると、約95%の確率で損益は-32%(+6% -19%×2)から+44%(+6% +19%×2)に収まるね。

 

つまりS&P500に連動する投資信託に1,000円を投資したら、1年後にはだいたい7割くらいの確率で-130円から+250円、9割以上の確率で-320円から+440円程度の損益になっていると思えばいいよ(図表2)。

 

(出所)S&P500のリスクとリターンは、myINDEX「S&P500(配当込み)(円)」より筆者作成。データ日は2021年1月末時点 イラスト:さーつるに
[図表2]米国株価指数S&P500のリスクとリターン (出所)S&P500のリスクとリターンは、myINDEX「S&P500(配当込み)(円)」より筆者作成。
    データ日は2021年1月末時点
イラスト:さーつるに

 

ペンタごん:ふむふむ。おおまかな範囲としてはマイナスの幅よりプラスの幅の方が大きいから、投資を続けていれば、将来的にはお金が増えているだろうってこと?

 

亮平さん:その通り! ただ必ずしもこの範囲に収まるとは言えず、2008年のリーマンショックのような100年に一度と言われる大暴落だと、期間によっては−50%程度も下落したことがあるよ。

 

ペンタごん:ええ~! −50%って投資したお金が半分になるってことでしょ? 僕はビビりペンギンだから、ちょっとでもマイナスになったらどうしようもないほど不安になって、投資を止めちゃいそうな気がするんだ…。僕みたいな小心者でも投資が上手くいく秘訣って、何かないのかな?

 

亮平さん:そういう人には、年間のリスクを下げられる長期投資がおすすめだよ。

長く投資するほど「リスク低下、リターン安定」の傾向

亮平さん:図表3のグラフは、1950〜2020年の米国株価指数のS&P500に投資した期間と年平均のリターンの幅なんだ。

 

期間1年だと−38.5〜+45.0%とリターンの幅は大きいから、それだけリスクが大きいということが分かるね。でも期間15年では年平均のリターンは+0.9〜+15.6%とリスクが小さくなって、どの時期に投資してもプラスになっていたんだよ。

 

(出所)Yahoo!ファイナンスより筆者作成。対象期間は1950~2020年で、S&P500の各年の年末終値を使用 イラスト:さーつるに
[図表3]S&P500の投資期間別の平均リターン (出所)Yahoo!ファイナンスより筆者作成。対象期間は1950~2020年で、S&P500の各年の年末終値を使用
イラスト:さーつるに

 

ペンタごん:そ、それって15年と長く運用すれば、必ずプラスになったってこと!?

 

亮平さん:もちろん過去のデータだから未来の保証にはならないんだけど、投資期間が長くなるほど、年間のリスクが下がって平均リターンは安定する傾向があるんだよ。

 

リーマンショックのような暴落は過去に何度も起こってきたけど、そのたびに株式市場は時間と共に回復して、全世界株式や米国株式は今日に至るまで過去最高値を更新し続けているんだ。

 

つまり大事なのは、インデックス投資を始めたら、相場の変動に惑わされることなく、とにかく長く続けること! これを忘れなければ、小心者のペンタごんでも暴落時に慌てず続けられるはずだよ。

 

ペンタごん:なるほど~! インデックス投資はとにかく長く続けるべしか…胸に刻んでおきます! 投資はリスクがあるからどうしても怖いイメージがあったんだけど、こうやって知っておけば不安もなくなって、前向きに始められそうだね!

 

<Point>

●投資におけるリスクとは、リターン(利益)の振れ幅のことを指す。

●投資期間が長くなるほど、年間のリスクが下がって平均リターンは安定する傾向にあるため、インデックス投資はとにかく長く続けることを心がけよう。

 

 

小林亮平

資産運用YouTuber