先月末、独立行政法人日本学生支援機構が発表した『令和2年度学生生活調査結果 大学昼間部(速報値)』で、苦しい学生の経済事情が明らかになりました。そんな学生に対して、岸田総理はどのような支援を考えているのでしょうか。
もう大学を辞めるしかない…困窮を極める学生を岸田総理は救えるのか? (※写真はイメージです/PIXTA)

苦境に立たされる学生を救う⁉岸田総理の考える対策

このような苦しい学生に対して、岸田総理はどのような支援を行うのか、注目が集まっています。具体的な方針として中間層への再分配強化を掲げていますが、教育費に関しては、先月に開催された自民党青年局・女性局主催の公開討論会において「オーストラリアのHECSみたいな出世払い的な奨学金の制度をつくっていくことも大事だ」という発言をしていることから、「J-HECS(卒業後拠出金制度)」の導入を検討するのではといわれています。

 

「J-HECS」は、自民党教育再生実行本部で基本設計の検討案が公表されていて、教育資金が一括で必要となる入学時の負担軽減などにメリットがあるとされてきました。

 

ただ「J-HECS」は出世払い。多くの学生が利用している、奨学金とあまり変わらず、保護者負担は確かに軽くなるかもしれませんが、大学卒業後に払い続ける学生のメリットは見えづらいものだといえます。

 

独立行政法人日本学生支援機構『令和元年度奨学金の返還者に関する属性調査』では、返還者の実態を無延滞者と延滞者に分けて調査を行っていますが、月返還可能額は無延滞者で「1万~1万5,000円」の回答が最も多く、30.7%、延滞者では「5,000~1万円」で38.7%。無延滞であろうと、延滞者であろうと、月々1万円程度の返済が限度という状況です。

 

また「延滞の理由」で最も多いのが「本人の低所得」で64.0%。奨学金を活用して大学を卒業したけれど、低所得で奨学金も返済できず……。そのような人が多いわけです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

国税庁『令和2年分民間給与実態統計調査』で会社員の年収の分布を見ていくと、年収300万円以下が37.7%と4割弱にもなります(関連記事:『会社員の「平均給与」2年連続減…4割が「年収300万円以下」の衝撃』)。

 

【会社員の「年収」の分布】

「100万円以下」8.4%(3.6%、15.2%)

「100万~200万円以下」13.8%(7.0%、23.4%)

「200万~300万円以下」15.5%(11.5%、21.3%)

「300万~400万円以下」17.4%(17.5%、17.3%)

「400万~500万円以下」14.6%(17.3%、10.7%)

「500万~600万円以下」10.2%(13.4%、5.7%)

「600万~700万円以下」6.5%(9.2%、2.6%)

「700万~800万円以下」4.4%(6.5%、1.5%)

「800万~900万円以下」2.8%(4.1%、0.8%)

「900万~1000万円以下」1.8%(2.8%、0.4%)

「1000万~1500万円以下」3.4%(5.2%、0.7%)

「1500万~2000万円以下」0.7%(1.1%、0.2%)

「2000万~2500万円以下」0.2%(0.4%、0.1%)

「2500万円超」0.3%(0.4%、0.1%)

 

出所:『令和2年分民間給与実態統計調査』

※(かっこ)内数値、左男性、右女性

 

このような状況で、奨学金と似たような制度ができたところで、困窮する学生が救えるとは思えません。学生の実情と将来を見据えた、本当の支援が期待されています。