風邪ではない…季節の変わり目に増える「長引く咳」の正体 (※写真はイメージです/PIXTA)

春先や秋口など、季節の変わり目になるとよく咳が出るという方はいませんか。もしかしたら、風邪ではなく「喘息」のサインかもしれません。喘息と言うと「ゼーゼー、ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)が出る病気というイメージが強いようですが、実は喘鳴を伴わないケースも珍しくありません。患者が自覚しにくく治療が遅れがちな喘息について、特徴や対処法を見ていきましょう。北浜こどもクリニック院長・北浜直医師が解説します。

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咳や痰(たん)…風邪に似た「喘息の症状」

<喘息とは>

子供の気管支喘息は、何らかの理由で気管支が収縮(=細くなる)し、空気の通りが悪くなる状態のことです。

 

アレルギーによるものが有名ですが、ほかにも様々な原因があります。

 

喘息を持つお子さんの気管支の粘膜は敏感になっていて(これを気道過敏性と呼びます)、様々な「刺激」を受けることにより気管支が収縮して発作を起こします。

 

症状としては、咳や痰といった軽い風邪症状から、気道の狭窄が強くなるとゼーゼーヒューヒューといった呼吸音が聞こえるようになり、さらに酷くなると呼吸困難を起こし命にも関わる場合があります。

「気温」や「天気」も喘息発作の引き金

<喘息発作の誘因>

気管支を収縮させて発作を起こす「刺激」は、アレルギー以外だと、たとえばホコリや煙を吸い込むことや、風邪なども刺激になり得ます。

 

そしてこの時期に忘れてはならないのが「天候の変化」です。

 

気道過敏性が高まっている喘息のお子さんにとっては、ちょっとした気温や気圧の変化が刺激になります。

 

気圧が喘息発作に寄与する詳しいメカニズムは判っていないのですが、たとえば台風が接近すると喘息発作が増えるなど、天候と喘息発作の関係は昔から経験的に知られていました。

 

したがって気温差や天候差が大きい今の時期というのは、喘息発作が出やすい時期であると言えます。

 

年間を通しても、喘息発作が多くなる時期というのは、インフルエンザなどの風邪が多い冬よりも、春先や秋口といった気候の変化の大きい時期です。

季節の変わり目の「長引く咳」は即受診のサイン

<喘息の診断>

発作が出ているときに実際に聴診をして狭窄音が確認できれば診断は簡単です。しかし実際には必ずしも狭窄音がするとは限らず、たとえば咳だけしか出ない「咳喘息」といった病態も存在するので、喘息の診断は難しい場合が多いのが実情です。

 

血液検査をしたとしてもアレルギーの存在がわかるだけで、喘息の診断には繋がりません(「アレルギーがある=喘息」ではない)し、喘息の診断に役立つ特異的な検査方法もなかなかありません。

 

昨今は呼気中の一酸化窒素(NO)の測定が喘息の診断に役立つことがわかってきていますが、小さなお子さんが上手に受けられる検査ではないので、やはり子供の喘息の診断は相変わらず難しいのが現状と言えます。

 

そんな中、先述したように喘息の「季節性」を把握することが診断の手助けになるケースが多いのです。

 

たとえば、普段は平気なのに9月、10月くらいになるとなぜか咳が増える、といった状況から、喘息の可能性を疑うことができます。

 

喘息が起こりやすいシーズンに咳が長引く場合は、喘息の存在を疑って小児科を受診したほうが良いでしょう。

 

そして大事なのは、喘息は診断が早ければ早いほど治療が簡単になるということ。逆に言うと、診断が遅れると治らなくもなる、ということです。

 

昔は不治の病とされていた喘息ですが、現在の医療技術では3~4歳くらいまでに診断がつけば完治させることが可能になってきています。一方で診断が6歳以降まで遅れてしまってから治療を開始しても治らないことが多く、成人喘息に移行してしまいます。

 

経験上、早々に診断をつけて治療に踏み切ったほうが良い結果が得られることが多いです。早期発見・早期治療が何より重要です。

実は「大人の咳喘息」も相当多い

大人の喘息人口は把握されているより相当多いことがわかっています。

 

大人の場合は気管支が太いため、少々狭窄したとしても咳が長引く程度で、ヒューヒューとした狭窄音がしないことが多く、それが喘息の診断を困難にさせる要因となっています。

 

大人でも咳が長引く場合は喘息の可能性を考慮されたほうが良いでしょう。

 

実は日本では年間2000人もの人が喘息で死亡しています。決して侮ってはならない病気なのです。

 

現在では上述したように呼気NO検査をするなどして容易に喘息の診断が可能で、最近は呼気NO検査機器を置いているクリニックも増えてきていますので、疑わしい方は積極的に検査することをおすすめします。

「寝具の洗濯」だけでも発作予防に効果的

<喘息の治療>

喘息の治療法はまさに日進月歩です。最新の治療ガイドラインに則った治療法は、効果の高さもさることながら、副作用などのデメリットも抑えることができます。

 

具体的な治療薬の詳細について今回は省略しますが、喘息治療の基本は発作の予防にあります。

 

喘息を治療して完治させるには年月がかかりますが、そのためには長期間にわたり発作が起こらない状態を維持させることが肝要です。

 

したがって、治療しているにもかかわらず治らない、発作を繰り返すという場合は今の治療のどこかに問題点があり、見直す必要があると考えられます。

 

発作が起こらない状態をいかに維持できるかが喘息の治療の最大のポイントであると言えます。

 

それがひいては長期予後を左右するといっても過言ではありません。

 

もちろん原因となるアレルゲンや様々な要因の除去なども重要で、今回一つだけ要因を挙げるとすると「寝具」です。

 

何といっても寝具は、1日のうち3分の1もの時間にわたり接触しているわけですから、寝具に含まれるハウスダストやダニなどは喘息の大きな要因になります。

 

シーツと枕カバーだけでもこまめに洗濯することでかなりの要因を減らし、喘息を軽減させることが期待できます。

 

こういった対策はやりだすとキリがないので、まずはこのあたりのできることから始めていくと良いかもしれません。

 

 

北浜 直

北浜こどもクリニック 院長

医療法人社団ペルセウス 理事長
北浜こどもクリニック 院長 

1976年12月1日生まれ。埼玉県出身。子供達に「あそこならまた行きたい」と思われるクリニック、医療という狭い常識に縛られない新しい開業医像を目指し活動中。

子供に不必要な苦痛や負担を与えない医療を徹底する姿勢は、The New York Timesをはじめとする海外紙からも多く取り上げられ、同紙の「アジアの次世代リーダー100人」に2015年より3年連続で選出された。

1995年3月 城北埼玉高等学校卒業
2002年3月 聖マリアンナ医科大学卒業
2002年4月 国立病院岡山医療センター 小児科研修医
2004年4月 東京都立豊島病院 NICU
2006年6月 山王病院 新生児科医長
2010年6月 北浜こどもクリニック開設
2012年4月 医療法人社団ペルセウス設立

>>北浜こどもクリニックHP(https://www.kitahama-kidsclinic.jp/)

著者紹介

連載現役医師が解説!様々な「カラダの不調」への対処法

※本記事は、こども医療と育児の総合サイト『こどもKARADAs』から転載したものです。

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