(※写真はイメージです/PIXTA)

小児科でよくご相談がある腹痛ですが、その原因の1つに便秘が挙げられます。本記事では、小児科医の塚田佳子先生が、健康な子どもが便秘になってしまう3つの原因と改善方法を解説します。

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年齢に関係なく、多くの子どもが便秘症になっている

小児科では、よくご相談がある内容に腹痛、その原因として便秘症があります。日本では2017年に「慢性便秘症診療ガイドライン」が日本消化器病学会の関連研究会より出版されました。

 

それによると便秘の定義は「本来体外に排出するべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とされています。

 

先天性の疾患や外科治療を要するような疾患についてはひとまず除外して、健康なお子さんが便秘になってしまう原因やその対処法についてみていきましょう。

 

小児の便秘症の患者さんは、乳幼児期ですと離乳食が開始される前後、トイレトレーニングを始める2〜5歳、小学校低学年、中学生と、年齢に関係なくいらっしゃいます。

 

乳児期、幼児期はお母さんがお子さんの排便回数が少ないことに気づいて受診するケースが圧倒的に多いですが、学童期になると「腹痛」で受診し、便秘かどうかを尋ねてもお母さんも本人もいつ排便があったか答えられないこともしばしばあります。

 

本人も小学校高学年や中学生になると恥ずかしがって答えてくれないケースも多くあります。ご両親は日頃からお子さんの排便についてオープンに聞くようにして、把握しておく必要があるでしょう。

健康な子どもが便秘になってしまう3つの原因

便秘になる原因としては、食習慣・生活習慣・精神的な問題の3つが考えられます。

 

■食生活が原因の便秘の対処法

食習慣に関しては、偏食離乳食を始めたばかりのころや2〜3歳の幼児期には、食べられる食材、食べられる物が限られてしまうため、便秘になるお子さんが多いです。

 

葉物野菜は乳幼児期には、噛みづらく敬遠されがちな食材でもあります。細かく刻む、すりつぶす、他の食材に混ぜ込むなど、使う食材に工夫が必要です。

 

葉物野菜もそうですが、離乳食や完了食を食べないのでお菓子を与えてしまうのは逆効果!

 

子どもは離乳食を食べなくても、泣いて待っていたらもっと甘くて美味しい物を出してもらえると勘違いしてしまいます。少量であっても「食べようね」と声がけをして食べる練習をすることが大切です。

 

便秘に悩むお子さんには、食物繊維の多い食材(サツマイモやごぼう、キャベツなど)がおすすめです。

 

サツマイモは加熱することで甘くなり、気にいって食べてくれるお子さんが多い印象があります。

 

しかし、日々このような努力をされているにもかかわらず、お子さんが食べてくれないというお悩みを聞くこともあります。その場合には野菜を食べさせるかわりに野菜ジュースをコップ1杯あげてみることが、好き嫌いの克服の第一歩になることがあります。

 

■生活習慣が原因の便秘の対処法

生活習慣に関しては、運動不足乳児期に比べ、歩いたり走ったりできるようになる2〜3歳は体を動かすことで腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、便秘が解消されるお子さんが多いです。

 

しかし、この数年はコロナの影響でありなかなか外で体を動かして遊ぶ機会が少なくなってしまっていることが便秘が増えている原因のひとつと考えられます。

 

外に行けないときは「の」の字の方向にお腹のマッサージをしたり、親子でお腹を伸ばしたり縮めたりするストレッチをしたりすることで解消できることもあります。是非意識をしてやってみましょう。

 

■精神的な問題が原因の便秘の対処法

また、精神的な問題が便秘の原因になってしまうケースでは、便意を我慢してしまう。乳児期以降、お子さんが自宅以外で排便をすることに躊躇いがあったり慣れている場所でないと排便ができないといったものが挙げられます。

 

新学期や夏休み明けなど環境が変わることで便秘になってしまう場合では、外で、という意識よりもまずは慣れているところ、安心感のある場所で排便するよう促してみましょう。

 

朝食後や幼稚園、保育園、学校に出かける前の時間もしくは夕食後をトイレタイムにすることで、便秘が改善することがあります。朝はどのご家庭も忙しいものですが、10分程度余裕を持ってトイレに行く時間が確保できるといいですね。夕食後も家族揃っての食事のあとならお子さんもリラックスできているかもしれません。

 

それでも難しいときはお近くの小児科に受診することをおすすめいたします。食事や運動などをどれだけ心がけていても便秘になってしまうこともあります。そんなときは悩まずに小児科を受診しましょう。

 

幼児期、学童期の腹痛の多くは便秘が原因のことが多く小児科の先生は診療に慣れています。小児科の先生と食事内容を見直すこともできますし、今は飲みやすい薬も出ているので相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

塚田 佳子

院長

けいこ豊洲こどもクリニック

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『こどもKARADAs』から転載したものです。