(※写真はイメージです/PIXTA)

RSウイルス感染症とは、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに一度は感染すると考えられています。本記事では、小児科専門医の杉田依里先生がRSウイルス感染症に感染したとき、家庭で気をつけるべきポイントを解説します。

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生後6カ月頃までの赤ちゃんが感染症にかかりにくい理由

予定日近くまでお母さんのおなかのなかにいた赤ちゃんは、お母さんの免疫(抗体)をへその緒を通じてもらっています。ですから、産まれてから、お母さんからの抗体が自然になくなる生後6カ月ごろまでは、風邪などの感染症にかかりにくいとされています。

 

そのあと、さまざまな感染症に感染し、原因となったウイルスなどの抗体を赤ちゃん自身がつくることで、感染症にかかりにくくなったり、かかっても軽い症状で済むようになったりします。

 

また、かかると命に関わったり、重い後遺症を残したりする感染症に対してはワクチンの開発がすすんでいるおかげで、実際に感染しなくても抗体をつくることができるのです。

 

それでもウイルスにはたくさんの種類があるので、赤ちゃんはいろいろな病気にかかってしまいます。

 

ほとんどは数日間の発熱や咳、鼻水、下痢などの一時的な症状を起こすものの、赤ちゃん自身の力で治っていきますが、治るまで、医療的なサポートが必要になる病気もあります。

 

そのなかでも、RSウイルス感染症は、赤ちゃんがかかった場合、酸素投与や点滴などの医療的なサポートが必要になることがある病気です。

RSウイルス感染症はほぼ2歳までに一度は感染する

RSウイルスは、風邪を起こすウイルスとして広く知られています。赤ちゃんは、1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%がRSウイルスに少なくとも一度は感染すると考えられています。

 

また、一度かかったらもう感染しないのではなく、何度も繰り返して感染するので、大人でも感染します。

 

症状は、軽い風邪から、重症の細気管支炎や肺炎などの重いものまで、さまざまです。初めてかかった年齢が低ければ低いほど症状が重くなりやすい傾向があります。

 

大人や年長の子どもでは、普通は軽い咳や鼻水などの症状のみで治るので、知らず知らずのうちに赤ちゃんに感染させてしまうことがあります。とくに生後6カ月未満の赤ちゃんのいるご家庭では、お兄ちゃんやお姉ちゃんも含めて、赤ちゃんにうつさないように注意が必要です。

 

RSウイルスに感染すると、4日~6日間(2日~8日間)の潜伏期間を経て、発熱や鼻みず、咳などの症状が出てきます。子どもの場合は普通の風邪よりもその症状が長引くことが多いですが、ほとんどは軽症のまま治ります。

 

1歳未満(とくに生後6カ月未満)の赤ちゃんの約3割では、初めに症状が出始めてから3日ごろから咳がひどくなり、ゼイゼイと喘息のときのような苦しい呼吸をしたり、ミルクやおっぱいの飲みが悪くなります。

 

咳の悪化のピークは症状が出始めてから5日~7日目ごろになることがあるので、診断されたときに咳の症状が軽度でも、しばらくのあいだ注意が必要です。

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『こどもKARADAs』から転載したものです。