日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面が見えてきます。今回、焦点をあてるのは、内閣府の『性別による無意識の思い込みに関する調査研究』。その結果からは、古い常識に縛られたままの日本の実態が見えてきました。
「男は仕事、女は家庭」…結局、古い常識に縛られている日本の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

「それ、古いですよ」という男女の常識が、20代でも根強く残っている

――男性は仕事をして家計を支えるべきだ

 

昔は、このような考え方が一般的でしたが、近頃では「そんなの古い!」というのが常識でしょうか。しかし、そうでもないようです。

 

内閣府が先月発表した『令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究』。アンコンシャス・バイアスとは、「無意識の思い込み」「偏見」と訳されることで、誰もが潜在的に持っているもの。本調査では、家庭と職場での性別役割、その他性別に基づく思い込みの36項目について調査を行っています。回答では「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の4段階で評価しています。

 

それによると、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」は男性50.3%、女性47.1%が「そう思う(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計)」と回答。3ポイントほど男女差はあるものの、約半数が「男性は仕事」と考えています。

 

また年齢別に見ていくと、50~60代で特に性別役割意識が強く、20代でも男性41.8%、女性38.3%と約4割は「男性は仕事」と考えています。

 

【Q.男性は仕事をして家計を支えるべきだ】

男性20代 41.8%

男性30代 41.3%

男性40代 47.4% 

男性50代 55.7%

男性60代 63.5%

女性20代 38.3%

女性30代 43.7%

女性40代 46.6%

女性50代 51.2%

女性60代 55.0%

 

出所:内閣府『令和3年度性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究』

※数値は「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計

 

また古いといわれている考えには、「家事・育児は女性がすべきだ」というものもあります。同調査によると、男性で29.5%、女性で22.9%が、その考え方です。年齢別に見ていくと、この設問でも年齢が高いほうが、また女性よりも男性のほうが性別役割意識が強い傾向にあります。それでも20代で男性23.9%、女性17.1%と、決して少なくない人たちが「家事・育児は女性」と考えています。

 

【Q.家事・育児は女性がするべきだ】

男性20代 23.9%

男性30代 24.7%

男性40代 28.7% 

男性50代 31.6%

男性60代 37.5%

女性20代 17.1%

女性30代 21.9%

女性40代 23.8%

女性50代 25.0%

女性60代 26.4%

 

出所:内閣府『令和3年度性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究』

※数値は「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計