ドリカム・中村正人「新曲CDを買って」…異例の呼びかけに人々は
先日、DREAMS COME TRUE、通称ドリカムのメンバー、中村正人氏がCD購入をブログで呼びかけ話題になりました。新曲を発売したものの、ワースト記録を更新。厳しい状況下での投稿となったようです。
それに対して、アーティストパワーによるもの、楽曲によるものなど、厳しい意見も多く見られました。音楽関係者からも「デジタル配信やサブスクの浸透で、CDはすでに過去の産物」という声も。確かに「最近、CDを買っていないなあ」という人はかなりの数にのぼるのではないでしょうか。
音楽との関わり方は、時代とともに大きく変わっています。40~50代の子どものころは、テレビで音楽番組が全盛だった時代。そもそも、レコードプレイヤーのない家庭も多く、カセットテープに音楽番組を録音して楽しむようなことも。音を立てないよう、テレビの前でテープを回し始めたものの、そのようなときに限ってお父さんが物音を立てて親子げんかになる……そんなシーンが多くの家庭で見られました。
そして1980年代後半、CDが登場すると、音楽の聴取環境は大きく変わります。東芝EMIがシングルCDを発売したのは1987年。その翌年には、最近はなかなか見かけなくなった8cmのCDが発売されます。法整備が進んだことで、CDレンタルも普及。ポータブルオーディオプレイヤーも爆発的に売れ、音楽はレコードからCDへ、またCDを借りてテープ(のちにMD)に録音して……音楽はさらに身近なものになっていきました。
そして日本の音楽CDの生産は1998年にピークを迎え、生産金額は約5879億円、生産枚数は4億5717万枚に達します。しかし翌年以降売上は急速に減少。Napsterなどの違法ダウンロードのほか、携帯電話などの普及で娯楽が多様化したからなど、さまざまな説が論じられました。
そのようななか、さらなる変化が生まれます。2004年にiTunes Music Storeが始動。いよいよ、音楽を“モノ”として買う時代から、インターネットを通して楽しむ時代の幕開けです。日本の音楽業界は当初、インターネットを敵視する風潮が強かったものの、その結果は誰もが知るところ。米国では2011年に音楽ダウンロードの年間売上高が録音メディアを上回ります。さらに近年ではSpotify等、ストリーミングサービスが主流となり、そもそも音楽は所有するものではなくなりつつあります。