LOH症候群が疑われる場合には
まず、LOH症候群かどうかの検査を受ける必要がありますが、検査は容易です。問診票に答え、血液検査を受けるだけです。
血液検査ではホルモンを作り出す大元であるDHEA-sの値や男性ホルモンの一種であるテストステロン値、前立腺の状態を示すPSAなどの項目に沿って行われます。
治療について
治療はテストステロンの補充療法で行います。この療法は、血中の遊離テストステロン値が8.5pg/mL未満で症状を伴う場合には、まずお勧めします。
11.8pg/mL未満の方には、適用を検討します。
テストステロン製剤125㎎を筋肉注射で2~3週ごと、もしくは250㎎を3~4週間に1度投与します。
テストステロン製剤の副作用はニキビ、多血症などです。
さらに軟膏製剤もあり、これは顎の下や陰のうの裏などに塗布するという方法です。
ただし、以下の方にはこの補充療法は実施できません。
・PSA2.0ng/mL以上の方
・前立腺肥大の方
・乳がんの方
・多血症の方
・重度の肝機能障害の方
・うっ血性心不全の方
・重度の高血圧の方
・睡眠時無呼吸症候群の方
その他の疾患との関係
テストステロンはメタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、動脈硬化などと関連があるとの報告もあります。
糖尿病の方の約半数はED(勃起障害)がみられますし、70%の方には冠動脈病変もあると言われています。
男性更年期障害の予防
加齢と共に自然に減少するテストステロンの低下を予防することはなかなか困難ですが、ホルモンの母であるDHEA(※)の働きによってリスクを減らすことも可能です。DHEAはサプリメントで補うことができます。
※ 海外ではサプリメントとして市販されており、健康意識が高いビジネスエリートは積極的に摂取している。ただし、日本では医薬品の指定を受けているため、医療機関でなければ入手できない。
ED治療の薬効をより高め、血管を拡張する活力の素、アルギニンやシトルリンを含むエナジー系のサプリやコエンザイムQ10、亜鉛などのサプリメントもお勧めです。
生活習慣としてはお酒や油ものの多い食事を控えめにすることや、筋肉に負担をかけることでテストステロン量が増加することも証明されていますので、適度な筋肉トレーニングも大切です。
さらに、副交感神経が優位になる良質な睡眠も症状の改善と予防に繋がります。
高橋 通
東京国際クリニック(医科)
院長