株の出来高は取引開始直後にもっとも多くなる傾向にあります。そのため、前場(9:00~11:30)のほうが値動きが大きく、儲けやすいなどといわれていますが、実際はどうなのでしょうか? 実際の株価変動データを確認するとともに、考えていきます。
「株で儲けるなら午前中が勝負」の真意【投資のプロが検証】 ※画像はイメージです/PIXTA

株価が上がりやすい・下がりやすい…傾向と対策

さて、以上のデータでは、

 

前場に高値…6銘柄

後場に高値…4銘柄

前場に安値…7銘柄

後場に安値…3銘柄

 

となっています。そこから考えると、とりあえずは「高値も安値も、後場よりは前場につくことが多い」と考えることができそうです。

 

しかし、サンプル数が10銘柄ですと、統計的にはあまりにも少なすぎるため、そう結論づけることはできないでしょう(興味のある方は、100銘柄、1,000銘柄とサンプル数を増やしてデータ収集してみるのもよいでしょう)。

 

また、仮にそういう傾向があったとしても、後場にも4銘柄が高値、3銘柄が安値をつけているため、「後場の方が上がっている、または下がっている銘柄も十分にある」といえます。

 

したがって結論としては、「『前場の方が上がりやすい(または下がりやすい)』『後場の方が上がりやすい(または下がりやすい)』という傾向があるかどうかは定かでないし、あったとしても大きな差ではない」ということになるのではないでしょうか。

 

確かに出来高は、前場の方が多くなる傾向があります。しかしながらその中には、買いが多く値が上がる場合も、売りが多く値が下がる場合も、両者が同程度で値が変わらない場合もあるのです。また、日中に材料が出た場合などは後場の方が値動きが大きくなることもあるでしょうし、投資家はそれぞれいろいろな思惑をもっていろいろな行動をするため、たまたま後場の方が値動きが大きくなることもあるでしょう。

 

ですから、「前場の方が上がりやすい(または下がりやすい)」「後場の方が上がりやすい(または下がりやすい)」ということは特に考えずに、自分なりのその他判断基準に従って売買をする方が、投資成績は向上するのではないでしょうか。

 

まとめ:「前場と後場のどちらで上がる(または下がる)か」は考えなくてもよさそう

「『前場の方が上がりやすい(または下がりやすい)』『後場の方が上がりやすい(または下がりやすい)』という傾向があるかどうかは定かでないし、あったとしても大きな差ではない」ということができそうです。

 

ですから、そういったことは特に考えずに、自分なりのその他判断基準に従って売買をした方がよいのではないでしょうか。