灘中合格者数16年連続1位を誇る浜学園の橋本憲一塾長は、入試本番にピークをもっていけず、中学受験に「失敗」してしまう小学6年生が多いといいます。入試本番に向けて春夏と勉強を続けた「能力が高い子ども」ほど陥りやすい、「初秋のスランプ」から脱出する方法を見ていきましょう。※本連載は橋本憲一氏の著書『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか: ワンランク上の志望校に受かるための能力と習慣』(ポプラ社)より、一部を抜粋・再編集したものです。
中学受験…能力の高い子ほど陥る「初秋のスランプ」から脱出する方法【名門塾塾長が解説】

夏休み以降の9月、10月が盲点

現時点でまだ、多少学力が劣っていても「いま」勉強が楽しくて、常に自分で考えてワクワクと取り組んでいる子どもと、「過去」の知恵で戦っている子どもとの勝負は、かなりの確率でやはり前者に軍配があがります。これが、「中学入試の合格確率を上げるひとつのポイントは勢い」と言われるゆえんです。

 

ライバルより能力があっても、勉強のピークがずれてしまったことで、「勢い」で負けてしまうケースが中学入試には本当にたくさんあります。

 

しかし、もともとの能力が高いばかりに、すでに勢いを失い、過去の蓄積に頼る状態になっていることに、親も子どももなかなか気がつきません。

 

親は逆転されたことが許せず「いままで勝っていたあの子になんで負けたの?」と、子どもを責めますし、子どもは子どもで、自覚がないので「ちょっと夏休みボケで9月、10月とあんまり勉強してなかったからなぁ」などと思っています。

 

このようなケースの場合は、逸早く親が子どもの変化に気づいてあげて、焦らさずに11月からでも再度ペースを上げて12月・1月と「四六時中勉強を我慢してこなしている」受験生に仕上げていけば、もとの蓄積があるのでまったく心配いりません。

 

夏休みが終わって学校が始まり、9月・10月には勉強のペースを崩す受験生がたくさんいるという情報を頭に入れておけば十分に対応できるのです。

 

従って、大半の受験生は小6生の春先から夏休み前までは短時間の集中した勉強に取り組み、夏休みに一度「寝る以外は勉強」の精神で「四六時中勉強を我慢してこなしている」受験生に近づく努力をしてほしいです。

 

そして、秋は短時間の集中した勉強に戻して睡眠をしっかりとって乗り切り、夏の経験をもとに12月・1月と「四六時中勉強を我慢してこなしている」受験生に仕上げていくのが一番いいと思います。

 

 

橋本 憲一

浜学園

学園長

 

灘中合格者を多数輩出!名門塾の学園長が中学受験ノウハウを語る
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