(※写真はイメージです/PIXTA)

人の体にできる腫瘍には、良性から悪性までさまざまな腫瘍があります。そのなかでも粉瘤は比較的できやすく、10人に1人は体のどこかに粉瘤ができるといわれています。ふるばやし形成外科粉瘤クリニックの古林玄先生が粉瘤の症状や治療法、予防法について解説します。

皮膚にできた「盛り上がったやわらかいしこり」の正体とは

粉瘤(アテローム)とは、表皮嚢腫(のうしゅ)ともよばれる良性の腫瘍のひとつです。人の体にできる腫瘍には、良性から悪性までさまざまな腫瘍があります。そのなかでも粉瘤は比較的できやすく、10人に1人は体のどこかに粉瘤ができるといわれています。

 

粉瘤ができる原因は皮膚のなかに皮膚組織が埋入し、そこに皮脂や角質といった老廃物が溜まっていくことです。最初はあまり目立たないので、ニキビや小さなしこりのように見えますが、徐々に大きくなり、皮膚が隆起してきます。

 

この状態で放置してしまうと、臭いや細菌などの感染による炎症が発生してしまいます。とくに、お尻や脇で炎症すると座れなくなったり、腕が動かせなくなったりと、日常生活を快適に過ごせなくなってしまうのです。

 

そして、炎症によって化膿し、強い痛みや腫れを生じている場合には、できるだけ早い処置が必要です。

 

炎症を起こすと中身の老廃物が排出されて、一度小さくなり、炎症は治まります。しかし、腫瘍自体は残っているため、再度徐々に大きくなり、炎症を繰り返してしまうため、手術により、腫瘍を取り除く必要があるのです。

 

また、よく自分で粉瘤を潰してしまう患者さんがいますが、炎症の原因は粉瘤の袋が壊れ、なかの老廃物がカラダのなかで漏れ出し、異物反応を起こすことです。自分で潰すと炎症を自ら起こしてしまうことになりますので、潰してはいけません。

粉瘤を取り除く手術…くりぬき法と切開法

粉瘤ができたしまった場合、基本的には皮下に埋まった袋を取り除く手術が必要です。粉瘤を取り除く手術には、腫瘍の上に切開を加え、腫瘍を一塊に摘出する切開法と小さな傷から腫瘍を摘出するくりぬき法があります。腫瘍はできる場所や深さ、大きさなど千差万別なのでその人に合った治療法を選択されます。

 

〈くりぬき法のメリットデメリット〉

 

くりぬき法は、傷跡を小さくでき、5分~10分程度で手術が終わります。しかし、腫瘍を少しでも取り残すと再発してしまう可能性があるため、手術の難易度が少し上がります。そのため、手術は症例数の多い先生や熟練した先生に行ってもらう必要があります。

 

〈切開法のメリットデメリット〉

 

切開法は、腫瘍をしっかりと切除することができるため、再発率は低くなりますが、術後に傷跡が大きくなってしまうというデメリットがあります。

 

炎症を何度も繰り返している場合や、大きい腫瘍、余剰皮膚が出てしまうような場合では切開法での手術が必要です。手術後、取り出した内容物の処理や消毒についてこれらの方法で摘出した腫瘍は、基本的に病理検査にだします。その検査によって、まれに悪性腫瘍だとわかる場合があるので、結果をきちんと把握する必要があります。また、腫瘍もさまざまあり、その他の腫瘍の診断にも役立ちます。

※病気の診断や原因の究明のために、手術で採取された組織を対象に顕微鏡などを使ってくわしい診断を行うこと。

 

手術後は、術後に消毒するのが当たり前でしたが、最近では消毒などをする必要はなく、シャワーなどでしっかり洗浄すれば問題ありません。洗浄後は軟膏などで少し湿潤状態にして傷の経過を診ることになります。

 

また、従来はまず、切開を行い、袋のなかの膿を排出して、毎日外来で洗浄することが基本でしたが、洗浄の際に毎回強い痛みがあるうえに、なかの袋が残った状態ではなかなか炎症が治まりませんでした。

 

しかし、くりぬき法や切開法で、内容物と袋をしっかりと取り切り取れば、術後の外来通院は必要なく、家庭でシャワー洗浄すれば痛みは2~3日で勝手に治まります。

 

また、炎症している粉瘤は炎症が治まってから手術をすることが当たり前でしたが、最近では、当日手術を行っている病院もあります。

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。