まんべんなくこなす「平均的優等生タイプ」の伸ばし方
一方の平均的優等生タイプというのは、凸凹タイプのように突出した得意科目・単元はないけれど、自分が習ったことに忠実で、不得意なことでもほかの子どもが2回見直すところを3回は見直し、そつなく丁寧に学力を積み上げていくので、当然点数はとれます。
このタイプの子は浜学園でも復習テストに非常に強いのです。しかし、平均的優等生タイプのウィークポイントは「この問題はちょっと難しいからやめておこうかな」とか「〇〇中学の問題はできるからやろう」という具合に、新しいものに挑まず、安全な形で勉強に入ってしまうことです。
指導者から「この難問をやってごらん」と急に新しいものを振られると、途端に勉強が嫌になってしまいます。それでももともとの勉強スタイルが手堅いので、学力は高くなりますが、挑むことなく守りを続けていると、あるところで少しずつ伸びが止まっていきます。
でも、彼、彼女たちは新しいことに対して弱いわけではないのです。これは習慣性の問題で、新しいことに向き合ったり、考えようとしたりする「意欲を育てる」勉強の時間が少ないだけなのです。
このタイプの子どもは、時には平均点の低い実力テスト中に、急に自信をなくすこともあります。普段であれば十分に正解できる問題まで難しく見えてしまい、いつもの順位や偏差値よりもかなり低くなることがあるかもしれませんが、心配はいりません。
本人にこれからの受験勉強に「自信をなくしてしまう瞬間にも自分の学力を出せるような取り組み」を入れていくようにアドバイスしていきましょう。家庭学習においても超難問に時間を決めてトライするようになれば、本来持っている安定した学力が常に出せるようになっていきます。
そのウィークポイントを補強するには、模擬試験のなかでも約2800名が受験する、小6生の公開学力テストのような正規分布の幅が広いテストで結果を積み上げていき、そのなかで現れてくる「自分の得意」をひとつずつ確実に強みにしていくことです。
たとえ超難問が解けなくても、灘中など最難関中受験の学力として、十分に通用するようになっていきます。
指導者から見ると凸凹タイプも平均的優等生タイプも、どちらも魅力的です。強みを徹底的に伸ばして、弱点を嘆くのではなく弱点とうまくつき合っていけるようになればいいのです。
橋本 憲一
浜学園
学園長