一度も浮上のきっかけがなかった団塊ジュニアの人たち
――いつかはバブルのころのように
団塊ジュニアの多くの人たちはそう思っていたかもしれません。しかしアジア通貨危機、ITバブル崩壊、リーマンショック……なかなか浮上するきっかけがないまま、日本の不安定な時代は続きます。
それは会社員の平均年収にも影響を与えます。国税庁『民間給与実態統計調査』によると、1997年、会社員の平均年収は467万3000円。実は戦後、統計を取り始めてから会社員の平均年収のピークはこの年。戦後、バブル崩壊後の1993年を除き、上がり続けてきた会社員の給与は、この年を境に下落に転じます。前年比マイナスを記録するのが当たり前となり、リーマンショックの影響が甚大だった2009年、400万円割れ直前の405万9000円まで下がります。
会社員の平均年収が400万円を超えたのは1989年のころ。日本は20年前の給与水準に戻ってしまった、ということになるのです。団塊ジュニアの人たちはこのとき30代後半。住宅購入による多額のローンを抱え、年々重くなる教育費の負担に対し、とにかく必死になっていた……そんな人も多いころです。
その後、アベノミクス効果などもあり、上昇に転じますが、最新の2019年、会社員の平均年収は436万4000円。ピーク時から-7%という水準。バブルの再来を夢見ていた大学新卒時の想いは、夢のまた夢、という現状。さらにこのコロナ禍による不況下で、団塊ジュニアの人たちは定年が見えてくる50代に突入します。
月収20万円未満の団塊ジュニアは12%強
前出の厚生労働省『賃金構造基本統計調査』によると、40代後半の平均月収(所定内給与)は34万7400円。推定平均年収(きまって支給する現金給与額と年間賞与等から算出)は560万7000円。
さらに月収分布を見てみると、月収34万円未満は45.20%。月収60万円を超える会社員は6.28%と、15人に1人の割合。一方、月収20万円未満は12.90%と7~8人に1人の割合。会社員人生の中でも多くの給与を手にするタイミングですが、高収入と低収入の格差は鮮明です。
【40代後半「月収」分布】
20万円未満 12.90%
20万~30万円未満 32.29%
30万~40万円未満 26.75%
40万~50万円未満 14.94%
50万~60万円未満 6.84%
60万円以上 6.28%
出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より