30年後「生まれ変わったドーソン・シティ」ですることがあった
しかしドーソン・シティは変わっていた。朽ち果てそうだった家々に人の手が入り、リノベーションされ、アーリーアメリカン調のホテルやレストランに変わっていた。メイン通りを歩くと、西部劇のセットのなかにいるような気分になった。ゴールドラッシュ時代を再現した観光地ということらしい。2016年には、人口も2000人を超えるまでになっていた。
この街ですることがあった。翌日から走るトゥクトヤクトゥクまでのデンプスター・ハイウェーの情報を集めることだった。
しばしば通行止めになるという情報もあった。ガソリンスタンドの位置も確認しておきたかった。借りたフォードのエコスポーツは、燃費に問題はなかったが、ガソリンタンクの容量に不安があることに気づいていた。そういった情報は、街のインフォメーションセンターで集まるようだった。
まるで図書館のようだった。資料も充実していた。通行止めの区間はなかった。女性スタッフは、地図をとりだし、そこにさまざまな情報を書き込んでくれた。デンプスター・ハイウェーは、イヌビクの手前で、ピール川とマッケンジー川を渡る。そのフェリーの運行時間。そしてガソリンスタンドの位置に「G」と記入してくれた。やはり少ない。2ヵ所しかなかった。
「クロンダイク・ハイウェーとデンプスター・ハイウェーが交差するところにもあるけど、閉まっていることが多いんです。安いのはフォート・マクファーソンのガソリンスタンド。でもここから590キロぐらいあるんだけど。あとタイヤは大丈夫?」
「タイヤ?」
「小さいタイヤの車は、デンプスター・ハイウェーは走らないほうがいい」
「フォードのエコスポーツっていう車なんですけど」
彼女はスマホで検索し「たぶん大丈夫」だと伝えてくれた。小さいタイヤは、バーストやパンクを起こしやすいのだという。こういったサービスはカナダだった。たいして役にたたないアジアの案内所とは違う。
「なんとか行けそうだ」