東証一部上場企業の人事部長を経験し、転職エージェント・人材会社を経営する福山敦士氏は、これまで3,000人以上の就職面談を行ってきた自身の経験から、転職面接において大切なことは面接官から「あなたがほしい」と言ってもらえるように仕向けることだと言います。「自己紹介」や「志望動機」など、面接でよく聞かれる質問への模範回答を見ていきましょう。※本連載は、福山敦士氏著『新しい転職面接の教科書~「最強の内定」を手に入れる!』(大和書房)を一部抜粋・再編集したものです。
転職面接を有利に進める「自己紹介」「志望動機」の模範回答 (※写真はイメージです/PIXTA)

面接官「志望動機は何ですか?」

■つまり…ビジョンや理念に共感していますか

 

求職者側が思っているほどには会社が重視している質問ではありません。少なくとも、志望動機が良かったから内定を出す、ということはありません。

 

ありがちに聞こえるかもしれませんが会社の企業理念やビジョンに共感した、という話に集約して大丈夫です。

 

この答え方であればブレませんし、企業側もそこに共感してくれているという安心感に繋がります。過去に僕が経営に携わっていた会社を例にすると、

 

■回答例
「御社が掲げている、『おもてなしでネット社会を豊かにしたい』という理念に共感し、自分もそのチームの一員になりたいと思いました」

 

と言われると「まず大丈夫」だと思いましたし、そこに対してはこちら側も突っ込む気にはなりません。ですが、「今後生き残っていくためにITスキルが必須だと思ったんです」と言われてしまうと「それが身につく会社は他にもあるよね」となるのです。

 

また、「先日、B社さんと共同で出されたプロジェクトのリリースを見ていいなと思いました」というような「点」に対する共感だとやはり突っ込みどころが生まれます。

 

加えて、志望動機は嘘がつけるという側面があります。未来のことに対しては絵空事が言えます。未来への話はファクトではありませんから、面接官としては参考材料にならないのです。

 

やはり、過去を聞かないとその人の素養は確認できません。仮に新卒入社のときに志望動機の熱意で突破した経験のある人は、どれだけ志望しているかという熱意ではなく、「過去の課題に対して熱意をもって取り組んできた」というファクトこそ伝えるべきなのです。

 

「御社のここに魅力を感じて、自分は絶対御社に入りたいんです!」という未来に対する熱意より、過去の課題に関するファクトが、面接官に「ということは、うちの会社でも同じように頑張ってもらえるな」と思ってもらえます。

 

この質問は、受かるための質問ではなく、あくまでも落とされるリスクを減らすための質問と捉えた方がよいでしょう。

 

■アドバイス…理念に共感できないなら受けない方がいい

 

 

 

福山 敦士

キャリア教育研究家/人材会社経営者