2022年4月「在職定時改定」で年金はどう変わる?
厚生労働省『令和元年賃金事情等総合調査』によると、「定年年齢」を「60歳」としている企業が91.6%、「61~64歳」が0.6%、「65歳」が7.8%。また98%以上の企業が「継続雇用制度あり」と回答し、重複を含みますが、「再雇用制度」を採用している企業が98.3%、「勤務延長制度」を採用している企業が1.7%。高齢化や人材不足を背景に、60歳で定年を迎えるものの、希望によって65歳まで働くことのできる環境が整備されています。
また今年4月には、70歳までの就業機会を確保することを企業の努力義務とする「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、希望によっては65歳はもとより、70歳まで働くことのできる環境が、今後整備されていくのです。
現在、公的年金の受給開始は65歳ですから、「年金が受給される65歳までは働きたい」とする人は多く、再雇用や勤務延長の制度はありがたいものでした。一方、今回の法改正は「将来的に年金の受給開始を70歳にするための布石だ!」という見方もあり、歓迎する人と歓迎しない人は半々といった印象です。
年金に関連する法改正はもうひとつ、来年4月に施行となる「在職定時」の改正についても注目が集まっています。
そもそも厚生年金は、一定の加入歴があれば、65歳での加入歴がある場合、65歳になると「老齢厚生年金」が給付されます。
現行制度では、厚生年金は上限はあるものの、長く加入しているほど年金額は増額されていきます。しかし65歳以上の加入者の年金が増えるのは、厚生年金を辞めた時=会社を辞めた時か、70歳になった時で、すぐに増額というわけではありません。65~70歳の間は、毎月保険料は納めるものの、その間の年金額は増えることはないのです。
これだと65歳以降も働いても、その効果が年金の受取額として表れるのは70歳以降。働き続けるメリットを感じづらいものでした。
そのような状況を打破しようというのが「厚生年金の在職定時改定」。65歳以上の厚生年金加入者に対し、毎年9月1日に年金額の再計算を行う仕組みで、会社を辞めたり、70歳にならなくても、加入実績を踏まえて年金額が増額となるのです。具体的には8月までの加入実績に応じて、10月分12月払いから増額された年金が支払われるようになるのです。