日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は「茨城県の年収事情と暮らしぶり」について見ていきます。
茨城県の会社員、平均年収482万円で全国8位…知られざる「高収入県」の堅実な暮らしぶり ※画像はイメージです/PIXTA

茨城県「市町村別平均年収」…県都「水戸市」の順位は?

総務省『令和2年国勢調査(速報)』によると、茨城県の人口は286万8554人。5年前の調査と比べて4万8422人、割合にして1.66%の人口減となりました。全国的に人口減の傾向が強まっていますが、首都圏に隣接する茨城県であっても例外ではないようです。

 

世帯数は118万1273世帯で、5年前から5万6924世帯、割合にして5.06%増を記録。 人口減を記録していますが、世帯数は増加傾向にあります。平均世帯構成人数は2.42人で、全国平均2.27人を上回っています。

 

そんな茨城県の年収事情を見ていきましょう。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、茨城県の会社員の月収(所定内給与)は30万1000円で、推定年収(きまって支給する現金給与額と年間賞与その他特別給与額から算出)は482万9000円。47都道府県のなかでは、第8位です。

 

男女別にみると、男性会社員の月収は33万0000円、推定年収は541万1000円。女性会社員の月収は25万1100円で、推定年収は376万5000円です。

 

年齢による男性会社員の平均年収の推移を見ていくと、年齢と共に年収はぐんぐん上がっていき、定年前の50代後半で700万0000円に達します。全国平均と比べると、20代前半では5万円ほど下回り、その後もその傾向は変わりません。しかし40代後半、50代後半では全国平均を上回り、全国8位の“高収入県”の存在感を発揮しています。

 

【茨城県の男性会社員の年収推移】

「20~24歳」 320万5000円(307万0000円)

「25~29歳」 395万0000円(380万7000円)

「30~34歳」 461万4000円(423万9000円)

「35~39歳」 538万6000円(423万9000円)

「40~44歳」 586万1000円(516万6000円)

「45~49歳」 641万1000円(554万1000円)

「50~54歳」 671万3000円(581万7000円)

「55~59歳」 700万0000円(613万6000円)

「60~64歳」 445万9000円(408万4000円)

「65~69歳」 344万8000円(334万9000円)

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より作成

(かっこ)内金額は男女計

 

さらに総務省の「令和2年度課税標準額段階別所得割額等に関する調」で、茨城県内の市町村別の年収事情を見ていきます。トップは「つくば市」で406万1104円。続いて「守谷市」389万7999円、「東海村」352万0508円と続きます。「つくば市」と「守谷市」はTX効果でファミリー層が増えている地域。年収を押し上げている要因になっています。また「東海村」は原子力関連施設が立地する地域。政治的な要因も大きいようです(関連記事:「茨城県・市町村別『平均年収』ランキング」)。

 

ちなみに県庁所在地である「水戸市」は第4位で344万1704円。茨城県では居住の際、県都よりも東京に近い地域のほうが選ばれる傾向にあります。そのような事情が平均年収にも反映される結果になっています。