日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は「国民年金と厚生年金の平均受給額」について見ていきます。
厚生年金受給額「平均14万円」だが「10万円以下が2割」の絶望的事実 ※画像はイメージです/PIXTA

国民年金と厚生年金…平均受給額は月にいくら?

――これだけの預貯金で老後は暮らせるだろうか?

――定年後、いくらあれば、生活できるのだろう?

 

少子高齢化が進むなか、老後不安が広がっています。多くの人が年金に期待していない感はありますが、それでも、定年後の収入の大部分を占めることから、「年金をいくらもらえるのか」は切実な問題です。そこで厚生労働省『令和元年度 厚生年金・国民年金事業の概況』から、国民年金と厚生年金の受給状況をみていきましょう。

 

その前に、日本の年金制度を確認しておきましょう。

 

日本の年金制度は、「社会的扶養」の仕組みで成り立ち、社会全体で支えています。また日本国内に住む20歳以上が全員加入する「国民年金(基礎年金)」と、企業などに勤めている人が加入する「厚生年金」の二階建て構造となっています。

 

20歳以降の職業等によって加入する年金や保険料は変わり、自営業者や学生、無職などの「第1号被保険者」は国民年金のみに加入、会社員や公務員などの「第2号被保険者」は国民年金と厚生年金に加入、専業主婦などの「第3号被保険者」は国民年金のみの加入です。

 

第1号被保険者は令和3年度、毎月16,610円を負担(原則60歳まで)。第2号被保険者は月給の18.3%負担し、会社と折半します。そして第3号被保険者は第2号被保険者全体で負担しています。

 

国民年金は満額支給であれば、令和3年度、月6万5000円の支給、 厚生年金は、働いていたときの給料と加入期間によって受給額が決まります。現役時代の保険料には国民年金保険料も含まれているため、国民年金分と厚生年金分のどちらも受給されます。

 

では国民年金から見ていきましょう。

 

国民年金の第1号被保険者は1453万人(男性757万人、女性696万人)で、前年から18万人の減少、第3号被保険者数は820 万人(男性11万人、女性809万人)で、前年から26万人の減少となりました。

 

受給状況を見ていきましょう。国民年金受給者数は、前年から35万人増えて3565万人。平均年金額は月5万6049円。満額であれば6万5000円を手にできますが、なかなかそうはいかないようです。

 

続いて、厚生年金について見ていきます。

 

厚生年金の第2号被保険者は4488万人。そのうち第1号厚生年金被保険者(第2号は国家公務員、第3号は地方公務員、第4号は私立学校教職員)は4037万人(男性2488万人、女性1550万人)で、前年から57万人の増加となりました。

 

受給状況を見ていきましょう。厚生年金保険(第1号)受給者数は前年から14万人増の3543万人。平均年金額は月14万6162円。障害年金として受給されている人の平均年金額は10万2711円、遺族年金として受給されている人の平均年金額が8万3285円でした。