日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は「茨城県の年収事情と暮らしぶり」について見ていきます。
茨城県の会社員、平均年収482万円で全国8位…知られざる「高収入県」の堅実な暮らしぶり ※画像はイメージです/PIXTA

家計調査で明らかになった茨城県・勤労世帯の家計

そんな茨城県の人々の平均的な暮らしぶりを、総務省『家計調査家計収支編2020年』から、二人以上世帯/勤労世帯で見ていきましょう*。

 

*『家計調査』では県庁所在地を調査対象としているので、地域全体の実情とは異なる可能性があります。

 

茨城の勤労世帯(世帯人員3.27人、世帯主年齢49.0歳)の持ち家率は70.3%。全国平均80.1%よりも10ポイント低く、賃貸志向が多い傾向にあります。また配偶者(女性)の有業率は43.7%。全国平均54.7%に比べてこちらも10ポイント近く低く、専業主婦が多い地域といえるでしょう。

 

平均世帯収入は64万3469円。全国平均を4万円ほど上回っています。 衣食住などにかかる支出は30万円強。「交通・通信費」が若干上回るほかは、多くの項目で全国平均。基本的な支出からは、特に目立った傾向は見られません。

 

そんななか、「その他の消費支出」が全国平均を上回るのが目立ちます。細かく見ていくと、「仕送り金」が全国平均7128円に対して、茨城県は1万8164円と大きく上回っていました。「離れて暮らす家族のために……だから無駄遣いはしない」。茨城県にはそんな傾向があるのかもしれません。

 

【茨城県の勤労世帯家計の平均値】

■実収入 64万3469円(60万9535円)

「世帯主の収入(うち男)」46万2680円(43万1032円)

「世帯主の配偶者の収入(うち女)」8万9046円(8万7666円)

■実支出 43万7606円(41万6707円)

「消費支出」30万8563円(30万5811円)

 食料 7万1895円(7万9496円)

 住居 1万9748円(1万8824円)

 光熱・水道 2万2201円(2万1696円)

 家具・家事用品 1万1038円(1万3364円)

 被服及び履物 1万0551円(1万0654円)

 保健医療 9606円(1万3068円)

 交通・通信 5万6642円(4万9469円)

 教育 9532円(1万6548円)

 教養娯楽 2万7077円(2万6824円)

 その他の消費支出 7万0274円(5万5868円)

「非消費支出(直接税、社会保険料等」12万9042(11万0896円)

 

出所:総務省『家計調査家計収支編2020年』二人以上世帯/勤労世帯より

※数値はそれぞれの項目の平均値。加算しても実収入、実支出にはならない

※(かっこ)ない数値は全国平均

 

また所得から税金や保険料などを引いた手残りである可処分所得から消費支出を引いた、黒字額は20万5864円(全国平均19万2828円)で、黒字率は40.0%(全国平均38.7%)。ここでも無駄な支出を抑え、預貯金にはげむ姿が見られます。

 

統計資料からは意外と「高収入県」であることが明らかになった茨城県。無駄遣いをしない傾向にありますが、離れて暮らす家族にはお金を使う、というような優しい県民性を垣間見ることができます。