「前借り」感覚の利用者多数…知っておくべき「給料ファクタリング」の問題点【弁護士が解説】

「前借り」感覚の利用者多数…知っておくべき「給料ファクタリング」の問題点【弁護士が解説】

給料ファクタリングという言葉をご存じでしょうか? そもそもファクタリングとは債権を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスのことを指します。そのなかで、個人が勤務先に対して有する給与(賃金債権)を対象としているのが給料ファクタリングです。利用者からすると、給料をファクタリング会社から前借りしているように感じることでしょう。この給料ファクタリングサービスは貸金業に該当(貸金業登録が必要)するのですが、貸金業登録を受けていないヤミ金融業者が給料ファクタリングサービスを提供し、利用者から年率換算すると数百~千数百%という高額な手数料を取る、という問題が全国で多発しています。今回は、弁護士・齋藤健博氏が、相談者から寄せられた給料ファクタリングに関する質問に回答していきます。

従業員に違法ファクタリング業者を使わせないために

質問④:経営者の視点で考えた際、従業員に違法な給与ファクタリングを使わせないためにはどうすべきでしょうか?

 

違法なファクタリングかどうかは、契約書をしっかり読むことで判断が可能です。契約書は技巧的に作られていることが多いのですが、一番のポイントは、「いつまでも取引が続いていくかどうか」です。

 

たとえば違法なファクタリングの場合には、買い戻しの強制を行い、仮に自分が債権を回収してしまうと横領的に処理される内容になっていることが多くあります。自分の債権なのに業者に渡すことが強制されているかどうか、これが重要です。

 

万が一、従業員に支払いたい給与などが、ほかの人に譲渡されたと会社が通知を受けた場合、すぐに従業員を呼び出し、契約書を確認することが肝要です。もし難しければ、会社の顧問弁護士に確認してみてください。

違法ファクタリング業者から恐喝を受けたら…

質問⑤:実際に違法な給与ファクタリングを活用した従業員や、経営者自身が恐喝されたらどのような手順を踏んで解決すべきでしょうか?

 

恐喝的に電話が鳴りやまなくなる前に、内容証明などの通知を受け取ることがあります。このタイミングで、業者からの連絡をブロックするようにしてください。

 

違法業者の多くは闇金業者です。闇金業者の取り立てに付き合ってしまうと、通常業務が立ち行かなくなります。通知を受けたタイミングで弁護士に相談し(顧問弁護士がいる場合は顧問弁護士に、いない場合は無料相談などを活用してみてください)、今後の対応方針を相談してください。

 

間違っても電話などに出て、自らの意思表示をしないようにしましょう。また、弁護士相談をする際は、対象となる従業員を連れて行くようにしてください。

 

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