いまやリモート会議は当たり前のものになりましたが、それでも苦手意識を持つ方は少なくありません。オンラインであっても場の主導権を握るためのテクニックを、心理学の専門家である目白大学名誉教授、渋谷昌三氏が解説します。※本記事は『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』(日本文芸社)より一部を抜粋・再編集したものです。
リモート会議で相手の心を翻弄して主導権を握る「視線操作」の極意 ※画像はイメージです/PIXTA

ビデオ通話で「会話の主導権」を握るテクニック

●「聞きやすい」「話しやすい」が第一

 

ビデオ通話では、顔を合わせて会話をしているようにスムーズに話が進まないことが多いものです。原因は、お互いに細かな表情や仕草に気付きにくかったり、音声の伝わり方に微妙な時差があったりすることです。そのため、ビデオ通話は苦手という人もいますが、それは仕方のないこと。必要によっては、電波の通じやすい場所を確保したり、マイクの性能をアップさせたりという現実的な手段を講じることもできますが、ビデオ通話ならではの会話のストレスを解消、活用できる心理学的テクニックもあります。対面での会話にも共通するテクニックがほとんどですが、特にビデオ通話に威力を発揮すると思われるものを紹介します。

 

大前提として、ビデオ通話はどうしても聞きづらさがあるものです。それを踏まえて、普段よりもはっきりと話すことを心がけます。特に語尾をにごさないようにします。ビデオ通話だからこそ「聞き取りやすい」だけで相手が話をしっかり聞いてくれる、集中してくれる、ということがあります。話すスピードも意識して、早口にならないよう気をつけましょう。たたみ込むように話したり、ダラダラ話したりせず、ひとつの文章は短く。そしてひとつの話が終わったら、ひと呼吸おきます。

 

ビデオ通話がわかりにくいと感じている人、苦手意識がある人は、自分の話が相手に伝わっているかについても不安なものです。要所要所で相手の言葉を受けて「なるほど、○◯ということですね。では〜」のように、反復、確認することで安心感を与えられるのと同時に、会話をリードすることができます。

 

●先に視線を外して優位に立つ

 

一般的に、ビデオ通話では相手の話が長く感じられます。そのため、できるだけシンプルに話したほうが伝わりやすくなります。また、ビデオ通話では伝わりにくい表情にも意識を。非言語コミュニケーションを含めて会話と考え、相手に伝えたいという気持ち、伝わっているというイメージを届けましょう。

 

最後に、とっておきのテクニックを紹介します。会話中というのは互いに顔を見合っているものですが、あえて先に視線を外すというものです。前項のように、視線が泳ぐのは落ち着きのなさの表れ。でも、会話中にすっと視線を外すのは自分に自信のある人です。視線を合わせている時は対等な会話。そこから視線をそらすと、相手は「間違ったかな?」「何か変なことをいったかな?」と不安になります。

 

実験で証明した心理学者にちなみ「ブライアンの実験」と呼ばれるテクニックですが、オンラインの場合特に、実践にはコツが必要です。互いに画面を見つめて話している時、すっと画面の外を見る。自然にできるよう練習しておきましょう。

 

[図表2]会話時の目線から相手の心理を読む

 

◆大人のブラック心理テク◆

表情豊かに、落ち着いてシンプルな言葉で

 

 

渋谷 昌三

目白大学名誉教授