日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「平均年金受給額」と「高齢者の平均生活費」に注目していきます。
65歳、平均年金受給額「月16万8000円」…これで生活できますか?

65歳の平均年金受給額(月額)は16万8000円、生活費の平均は?

自身の老後の生活は、実際のところはなってみないと分かりません。ただ現在の高齢者の状況は老後に備えるうえでも参考になるでしょう。

 

公益財団法人生命保険文化センターが2021年6月に発表した『ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査』の結果によると、公的年金による収入は平均202万66774円。月額換算、16万8000円程度。前出の想定年金額に近い金額となりました。さらに年齢別に見ていくと、最も給付額が多いのが「85~89歳」で235.9万円、月額19万5000円程度となっています。

 

【年齢階級別「公的年金による収入」の平均額】

60~64歳 83.0万円

65~69歳 206.7万円

70~74歳 230.0万円

75~79歳 224.3万円

80~84歳 231.6万円

85~89歳 235.9万円

90歳以上 202.9万円

 

出所:公益財団法人生命保険文化センター『ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査』より

 

また年金収入が家計に占める割合は、65歳未満では2割強、70歳未満では6割弱ですが、70代前半で7割弱、後期高齢者となる75歳以上となると8割を超えます。

 

【年齢階級別「公的年金の収入」が家計に占める割合】

60~64歳 23.6%

65~69歳 57.0%

70~74歳 66.9%

75~79歳 82.3%

80~84歳 86.3%

85~89歳 89.0%

90歳以上 87.3%

 

出所:公益財団法人生命保険文化センター『ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査』より

 

一方、就労収入は65歳未満で月額40万円弱、70歳未満でも20万円強の収入を得ています。年齢と共に就労収入額は減少し、後期高齢者に突入すると月に数万円程度に。ほぼ年金に頼る生活になります。

 

【年齢階級別「就労による収入」の平均額】

60~64歳 464.9万円

65~69歳 266.2万円

70~74歳 158.6万円

75~79歳 65.0万円

80~84歳 70.9万円

85~89歳 46.9万円

90歳以上 0.0万円

 

出所:公益財団法人生命保険文化センター『ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査』より

 

そんな高齢者、月々の生活費は平均21万0787円。年齢別に見ていくと、75歳未満は21万円前後、75歳を超えると20万円を切る生活、というのが平均像になります。

 

【年齢階級別「月々の生活費」の平均額】

60~64歳 24.0万円

65~69歳 21.9万円

70~74歳 21.2万円

75~79歳 19.5万円

80~84歳 19.9万円

85~89歳 17.5万円

90歳以上 17.1万円

 

出所:公益財団法人生命保険文化センター『ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査』より

 

このように見ていくと、75歳未満では月々5万円ほどの赤字になりますが、支出額が減る75歳以上になると、年金だけでも暮らしていける水準になるというのが、高齢者の平均像。75歳未満では就労による収入も期待できますし、年金を足しにしてそれなりに暮らしている、というのが高齢者の生活の実態のようです。

 

ただこれはあくまでも調査対象世帯の平均値であって、年金だけで十分暮らしていけるという世帯もあるでしょう。月々いくら必要かは世帯によって変わりますし、病気や介護などで、突発的にお金が必要になるシーンも考えられます。不測の事態に年金だけで対応できるか、といえば少々不安は残ります。

 

「将来、年金だけで暮らしていけるか」といえば、「平均的な75歳以上の高齢者であれば暮らしていけそう」というのが一つの答え。でも突発的な支出には対応できそうもないので、「現役世代なら計画的な資産形成は必須」というのが正解だといえそうです。