日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は「働き方改革と有給取得率」に焦点を当てます
有給を取らない日本人…なぜこんなにも「休むこと」を恐れるのか? ※画像はイメージです/PIXTA

休めない日本人…その理由は?

有給取得率とは、年次有給休暇の取得日数を年次有給休暇の付与日数で割ったもの。有給については、労働基準法の条文は下記の通りです。

 

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

 

企業規模別に取得率を見ていくと、「従業員1000人以上企業」で63.1%に対して、「従業員30~99人企業」で51.1%。企業規模が小さいほど、取得率は低くなっています。

 

また業種別に見ていくと、「電気・ガス・熱供給・水道業」「複合サービス業」は目標値70%を超えていますが、「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」「建設業」は40%代前半と、低迷しています。

 

「年次有給休暇の取得に対するためらい」に関する調査では、「ためらいを感じる」「ややためらいを感じる」が52.7%。その理由として「みんなに迷惑がかかると感じるから」が66.8%と突出しているほか、「後で多忙になるから」が48.8%、「職場の雰囲気で取得しづらいから」が24.6%、「上司がいい顔をしないから」が12.9%、「昇格や査定に悪い影響があるから」が8.9%となっています。

 

有給取得を拒んでいるもの。「休んだらどうなるんだろう」といった精神的なハードルが大きいようですが、中小企業の場合、人手は限られ有給取得は現実的ではありませんし、旧体質の企業も多く、有給取得への理解も進んでいるとは言い難いのが現状でしょう。

 

また大企業で進む働き方改革のしわ寄せが、下請けなどの中小企業に及んでいる、という問題もあります。今後「しわ寄せ」防止に向けてキャンペーンなど周知・啓蒙を図っていくとしていますが、どれほど効果があるか疑問です。

 

そもそも「有給」というシステム自体、日本人の国民性に合わない、という意見も。そのようなことも反映してか、日本は世界でも祝日が多い国で知られています。年次有給休暇の取得率をあげるのであれば、強制的に右ならえで休みになるよう、祝日をさらに増やすのも手かもしれません。

 

【主要国の法定休日日数(2021年)】

16日 日本

13日 カナダ

12日 米国、イタリア

11日 フランス

10日 英国(イングランド・ウェールズ)

9日 ドイツ、オーストラリア

8日 スペイン