元経済産業省産業構造審議会・商品先物取引分科会委員でファイナンシャルプランナーの三次理加氏が執筆した『お米の先物市場活用法』(時事通信出版局)より一部を編集・抜粋し、国内投資家が「お米」に投資することで享受できるメリットについて解説します。
金融商品としての「お米」が国内投資家にとって魅力的なワケ (写真はイメージです/PIXTA)

<この連載の第1回記事はコチラから>

「時は金なり」天候や政策などの情報を把握しやすい

農作物の相場を見る際、播種から収穫までの期間は、天候等の気象条件が非常に重要となります。たとえば、国際商品のトウモロコシの場合、作付け時(田や畑に農作物を植え付けて栽培すること)における米国中西部(いわゆるコーンベルト地帯)における天候に注目が集まります。

 

昨今は、インターネット環境により海外の天候もすぐにわかります。しかし、一般的には、日本に住む投資家にとって、米国中西部の天候や作付けされたトウモロコシの状況について、情報を得て、理解するのは難しいといえます。

 

さらに「時は金なり」です。情報を早めに入手したいと思えば、誰かが日本語に翻訳するのを待たずに、英語のままで読まなくてはなりません。一方、国内の天候であれば、毎日、日本語でその情報に接することができます。

 

少し話はそれますが、昭和の時代、「赤いダイヤ」という小説が一世を風靡したことをご存じでしょうか?

 

「赤いダイヤ」とは、小豆のことです。小豆の商品先物取引、いわゆる小豆相場を舞台にしたお話ですが、TBSでテレビドラマ化され、後に藤田まこと主演、マドンナ役三田佳子で映画化もされました。

 

テレビや映画の影響もあり、当時、小豆相場が大変に活況を呈しました。この時、北海道へ赴き、小豆の作付けの様子を確認した投資家もたくさんいたそうです。国内の銘柄ならでは、のお話ですね。

 

また、農作物に関しては、国の政策をチェックすることも非常に大切です。たとえば、米国では、エタノール政策の導入により、世界のトウモロコシ市場の需給を大きく変革させました。すでに、米国のトウモロコシ生産量に占めるエタノール需要は、飼料需要を上回っています。

 

日本においても、米は政府の政策と大きな関係があります。すぐに情報を入手でき、しかも外国語から日本語に翻訳する必要がないという点は、米を資産運用先として考えた時、日本人投資家にとって利点といえるでしょう。

 

 

三次理加

ファイナンシャルプランナー

<この連載の第1回記事はコチラから>