今回は、借地権・底地問題の概要と、その解決方法を解説します。※本連載は、株式会社フジ総合鑑定の代表取締役・藤宮浩氏と、税理士・髙原誠氏の共著、『日本一前向きな相続対策の本』(現代書林)の中から一部を抜粋し、不動産を相続する際に知っておくべきこと・実践するべきことをご紹介します。

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「代替わり」で土地問題がさらに複雑化する可能性も

借地権とは、第三者の土地を借りて、その土地に自己所有の建物を建てる場合の、土地を借りる権利のことを言います。また、底地(貸宅地)とは借地権の付いた土地の所有権のことを指します。

 

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借地権・底地問題は、借地借家法等によって、どちらかというと立場の弱い借地権者(借主)の権利保護が制度化されたことから始まっています。

 

しかし、現在、市街地では底地よりも借地権の方が高値で取り引きされていることが多く、都心にいたっては、相続税路線価の借地権割合(土地に対して持つ権利の割合)が80%という地域もよく見られます。

 

このように、立場が弱いはずの借地権者の権利が高値で取引されることに、違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。

 

さらに、地主さん側から見た問題点として、自ら所有する土地にも関わらず有効活用が見込めないこと、一般的に固定資産税に対して低い地代しか見込めないこと等が挙げられます。

 

土地賃貸借契約を締結した当事者同士であれば、お互いの事情を知っていることで問題にまでは発展しないかもしれませんが、事情を知らない世代に代替わりすると、契約時のいきさつがわからないために、問題がさらに複雑になることも考えられます。

 

借地権・底地問題はできるだけ事情がわかっている方同士で解決できるよう、早めに対策を講じることをおすすめします。

 

 

次に、問題が起こりやすい例とその対策について見ていきたいと思います。

賃貸借契約書を作成し、土地の面積や形状を把握する

きちんと契約書を交わした上で、適正な価額で貸しているならば問題は少ないのですが、戦前あるいは戦後間もない頃から賃貸借が継続していたり、地主と借地権者の人間関係が親密だったりする場合に、契約書を作成せず口頭のみで契約している例もあります。

 

当事者同士が健在ならまだしもですが、互いに代替わりして、事情をよく知らない世代同士になれば、曖昧な賃貸借関係では不安が残ります。

 

将来、問題なく土地の賃貸借を継続するためにも、契約内容を書面化する必要があります。契約書を交わすことは、借主側にとっても、建物を建て替える際の建築確認や借入れがスムーズになる等、一定のメリットがあるはずです。

 

また、賃貸借契約書を整備する上で、面積が正確でなかったり、長年のうちに利用状況が変わって、過去の契約時の面積と現在使用している面積とが一致しなかったりする可能性もあるかと思います。

 

そのような場合は、現況測量を行うことをおすすめします。現況測量により土地の面積や形状等を把握することは、借地権者との交渉材料となるほか、相続税申告の際の土地評価において、有利に働く場合があるためです。

 

例えば、実測面積が契約面積よりも大きい場合には、借地人に対して適正な地代を求める、あるいは契約に基づいた使用を求めるといった対応が考えられます。また、敷地形状が明らかになることで、不整形地補正等も反映できる可能性があります。

 

さらに、遺産分割において底地の時価を把握する必要が生じた場合に、時価の査定が容易になることも考えられます。

 

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一筆の土地に複数の借地権(借地人)を抱えている例もよくあります。このような場合は、できれば境界確定測量を行って、借地人の利用単位ごとに境界を分けておけば、遺産分割や売却の際の便宜が図れます。さらに、その境界にしたがって分筆までしておけば言うことなしです。

 

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