本連載は、株式会社フジ総合鑑定の代表取締役で不動産鑑定士の藤宮浩氏と、税理士・髙原誠氏の共著、『日本一前向きな相続対策の本』(現代書林)の中から一部を抜粋し、不動産の相続にあたって知っておくべきこと・実践すべきことをご紹介します。

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不動産が動く時には「想定外の出来事」が起こりやすい

土地をそのままお子さんに相続させるにしても、売却して納税資金にあてるにしても、もしも問題発生の芽があるのなら、あらかじめ摘んでおくことが望ましいと言えます。

 

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例えば、隣地との境界です。境界が確定していない土地は売却が困難になることが多く、いざ売ろうという段になって慌てることになりかねません。

 

また、相続税の物納(相続税を金銭ではなく物で納めること)を希望するなら、その不動産が物納に適した財産と認められなければなりません。相続が起こる前に物件の調査等を行い、あらかじめ対策しておけば、有利に働くことが多いでしょう。

 

土地を人に貸している場合、相続対策の必要に迫られてから賃貸借契約書がないことに気づき、問題になるというケースもよく見られますが、そのように、不動産が動くタイミングには想定外の出来事が起こることが多いものです。

 

そのときになって慌てることのないよう、事前に不動産の整理をしておくことはとても大切です。

費用はかかるが高値売却に繋がりやすい境界確定測量

測量には、大きく分けて「境界確定測量」と「現況測量」があります。「境界確定測量」とは、隣接する土地との境界線をすべて確定させるために行う測量です。隣地の所有者の立ち会いのもとに境界を確認し、所有権のおよぶ範囲を決定します。

 

境界をめぐって、隣地所有者との間に問題が発生することは少なくありません。原因として最も多いのが、境界位置に対する意見の相違です。境界物件調査・対策標(境界点を示すしるし)ではなくブロック塀等が目印になっている、境界標が古くなって判然としない状態にあるといった場合等は、注意が必要です。

 

すでに過去に問題があって、未解決のまま放置されている例もあります。こうした場合、世代交代により事情をよく知る当事者がいなくなってしまうと、解決がいっそう困難になることも予想されます。解決まで長期間を要する可能性もあるため、なるべく早いうちに、問題解消に向けて動き出すのが望ましいでしょう。

 

土地が売買されるとき、境界が確定していることや、敷地面積が実測に基づいた数値であること等は、買い手にとってはプラス要因です。あらかじめ境界確定測量を行っておくことで売却がしやすくなり、高値売却にもつながります。

 

相続税の申告期限は、相続が起こってから10か月以内です。土地を売って納税資金にするつもりが、境界問題により売却できないまま申告期限を迎えるといったリスクも回避することができます。

 

また、測量費用を土地の所有者が支払うことで相続財産が減らせるため、節税にもつながると言えます。なお、境界確定測量に加えて分筆まで行っておけば、相続人の間で分けやすい財産となりますので、遺産分割対策としての側面もあります。

 

このように、境界確定測量はメリットの多いものですが、費用が一般に高額で(隣地所有者との交渉にかかる手間によっても変動します)、作業が比較的長期間におよびます。測量は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

 

境界確定測量の効用は次の通りです。

 

①隣地所有者すべての承諾を得た後に、境界標(コンクリート杭・金属プレート・金属鋲など)を設置することで、境界を確定することができる

 

②なくなってしまった境界標を復元することができる

 

③測量結果を用いて、登記の申請をすることができる

 

目的によっては費用の安い「現況測量」で済むことも

「現況測量」とは、土地の利用現況や依頼者の指示に基づいた点(ブロック塀や境界標等)を計測し、その土地の面積や形状、高低差等を把握するための測量です。

 

境界確定測量が目に見えない「境界」を測って測量図等を作成するのに対し、現況測量は現地にある「物」を測って測量図等を作成する点が大きな違いです。

 

現況測量は、通常、隣接地所有者の立ち会いは行いませんので、境界についてはおおよそのラインを推定するにとどまります。また、比較的料金が安く、作業が短期間で終了します。

 

本来は境界確定測量の方が望ましいのですが、目的によっては現況測量で足りることもあるため、測量目的・予算・期間等を考慮して上手に選択していただければと思います。

 

現況測量の効用は次の通りです。

 

①公簿面積と実際の面積との違いを知ることができる。これにより、縄伸び(公簿面積より実際の面積が大きいこと)、縄縮み(公簿面積より実際の面積が小さいこと)の状況を把握できる

 

②公図上の土地の形状と実際の土地の形状との違いを知ることができる

 

③建物を建築する場合や、固定資産税の非課税(道路部分)申請をする場合、相続税の財産評価を行う場合等に有効。

 

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