厚生労働省の調査によると、全国の医師数は2018年12月31日時点で32万7210人です。
今やその多くが何らかの医療従事者向けの医療情報サイトを活用しています。さらに、薬剤師や看護師などもこれらのサイトを活用していて、医療情報サイトは医師をはじめとした医療従事者にとって欠かせない存在になっています。
さまざまなサイトがしのぎを削る中、特に注目したいのは『m3.com(エムスリー)』、『MedPeer(メドピア)』、『日経メディカルOnline』の3サイトです。そして6月、新たにオープンした『because』というサイトがある。それぞれの特徴を見てみよう。
m3は29万の医師、16万の薬剤師が登録している
『m3.com』はエムスリー株式会社が運営するサイトで、m3はmedicine(医療)、media(メディア)、metamorphosis(変革)の3つの言葉の頭文字mに由来しています。
『m3.com』は製薬会社の医薬情報担当者(MR)が担ってきた業務をインターネット上で代替するサービスで伸びてきました。今では、29万人以上の医師(全国の医師の約9割)や16万人以上の薬剤師などが登録している、日本最大級の医療従事者専用サイトに成長しています。
『m3.com』の魅力はどこにあるのでしょうか。糖尿病などが専門の内科医S氏と内科の開業医K氏は、情報量が圧倒的に多いことが『m3.com』の優れた点であると指摘します。
『m3.com』を見ると、「医療に関する様々な情報、全部ここにあります。」と高らかに宣言しています。その言葉どおり、全国主要紙の医療関連記事をはじめ、『m3.com』独自取材の医療記事、海外主要ジャーナルの最新論文の抄訳、臨床に関するニュースなどが毎日、配信されています。
登録して利用することによる特典も充実しています。
「貯まったポイントはアマゾンギフト券や医学書、寄付など1500種類以上の特典と交換できます。」
とサイトの説明にあるように、ポイントは自己研鑽や社会貢献に使うことができるし、お米やミネラルウォーターなどの食料品と交換することもできます。内科医S氏は「『m3.com』はポイントがたまりやすく、それを楽しみにしている医師も多い」と話します。
『m3.com』https://www.m3.com/
MedPeerは「医師同士の意見交換場を作る」と設立
メドピア株式会社が運営する『MedPeer』も人気が高く、12万人以上の医師が利用しています。
メドピア株式会社は医師の石見陽(いわみよう)氏が設立した会社で、石見氏は現在も同社の代表取締役を務めています。
「医師同士の意見交換の場を作りたい」
石見氏はこの思いによって、同社を設立し、『MedPeer』を運営しています。
『MedPeer』では「一人の医師の疑問は多くの医師の疑問かもしれない」というコンセプトのもと、臨床を支援する多様なコンテンツを提供し、医師の疑問や経験を共有できる場にすることを目指しています。
『MedPeer』の特徴の一つに、朝日新聞と連携していることが挙げられます。『MedPeer』内に「MedPeer朝日ニュース」を開設していて、『MedPeer』の会員は朝日新聞のコンテンツを無料で読むことができます。
サイト内に症例相談があることも魅力の一つでしょう。この症例相談は、疾患に関する『MedPeer』会員の質問に対し、その分野の第一線で活躍するExpert(専門医、専門家)が質問に回答するサービスです。Expertは最新の医療情報を提供したり、患者一人一人に合った治療方針を提案したりするので、会員の医師にとっては頼りになるコーナーといえそうです。
『MedPeer』のサイト内で放映されている、医師のためのインターネットテレビ「MedPeer Channel」も特筆に値します。
この番組は東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(愛称:TOKYO MX)との共同制作で、最新の医療情報を中心に、医療の学習コンテンツや医療バラエティーなども放映しています。
『MedPeer』https://medpeer.jp/