首相、スリランカ航空の債務返済能力に疑問
スリランカのナショナル・フラッグ・キャリアである国営スリランカ航空が、債務超過に陥り経営危機に瀕していると、ラニル・ウィクラマシンハ首相が発表した。
「スリランカ航空が今後、負債を返済していくことは不可能でしょう。1ヵ月後か、あるいは6ヶ月後には、我々はこの負債をどうするか決めなくてはなりません。政府が肩代わりするのか、あるいは別の決断をするのかは、国会に報告します」と首相は国会で語った。
2015年までの累積赤字は1,280億ルピー(約8.7億ドル)にのぼり、760億ルピーの負債を抱え、バランスシート上では740億ルピーが不足している。税金を元にして資本注入がなされない限り、経営は悪化し続ける状況にある。
経営悪化で問われる前大統領の責任
スリランカ航空の巨大損失は、ラジャパクサ前大統領のもとでのエミレーツ航空との資本提携の解消や、疑惑を生む取引による結果であって、国家レベルの経済犯罪であるとウィクラマシンハ首相は批判を強めている。
2008年には44億ルピーの利益を生んでいたスリランカ航空だが、ラジャパクサ前大統領によって同年にエミレーツ航空との連携が解消され、それ以降は赤字を生みだし続けてきた。
当時の政権との確執は他にもある。2007年に政府は、当時のスリランカ航空のCEOである英国人に対するスリランカでの労働ビザを取り消す処分をした。その理由としては、ロンドン発の航空便において、急遽乗り込もうとしたラジャパクサ氏の側近団に、他の乗客をキャンセルしてでも席を与えよという要求を、CEOが拒否したためではと言われている。実際、この件が起きた翌日にCEOのビザは取り消されている。
首相によれば、スリランカ航空は国営であるべきであり、いくらコストがかかろうと飛び続け、人々にナショナル・フラッグ・キャリアの誇りを示すべきだという考えが政権内に広がっていたという。
そして翌年の2008年、政府はエミレーツ航空から、同社が40%を保有していたスリランカ航空の株式の全てを買い戻し、エミレーツ航空はスリランカ航空から手をひくことになった。
「それ以降、スリランカ航空は赤字企業になったのです。彼らは巨大な損失を出しました。その損失は健康分野や教育分野での支出よりも大きな額です。これは、もはや国家犯罪です。」と首相は指摘する。