豊富な内部留保は株価引き上げの要因に
「私の会社は内部留保がかなりたまっているから、いざというときは、銀行に頼らなくっても平気さ」――。大企業に比べ、どうしても金融機関からの信用力が劣る中小企業のオーナー社長は、いざというときに備えて内部留保を積み上げておくものです。
内部留保がたまれば資産が増えて会社の体力も信用力も増しますが、同時に自社株価を引き上げる要因にもなってしまいます。長年にわたるせっかくの自助努力が、事業承継にとってマイナス要因になってしまうのは、なんとも痛し痒しです。
そこでおすすめするのが、積み上がった内部留保を原資にして行う「不動産取得」です。
不動産をタイミングよく取得して節税を
例えば、内部留保を1億円の現金でもっていれば1億円の資産として評価されますが、代わりに1億円の土地を購入し3年経過すれば、路線価による評価で8000万円まで下がる可能性があります。
また、賃貸不動産なら、土地は路線価や倍率方式、建物は固定資産税評価額による相続税評価額で評価することができますし、土地は「貸家建付地」、建物は「減価償却資産」扱いにすることができます。
時間が経てば経つほど資産が減りますので、事業承継のタイミングに合わせて取得することで、節税効果を生み出すことができます。ただし、すでに述べたように、計画を立てる際は、3年以内に取得した土地と建物は、路線価や固定資産評価額ではなく、実際の取引価額(時価)になるので注意が必要です。