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鉄鉱石価格は堅調に推移
需給両面で好材料
■19年の鉄鉱石価格は、堅調に推移しており、7月23日までの年初来で+65.9%上昇しました。
■中国政府が進めるインフラ投資の拡大を受けて粗鋼生産が増加していることや、中国が必要とする高品質の鉄鉱石を産出するブラジルや豪州で鉱山ダムの決壊やサイクロンの襲来など供給減少につながる事象が発生したことが背景にあります。
鉄鉱石価格と豪ドルの対円相場
中国のインフラ投資は継続へ
供給面では価格調整の可能性
■中国政府は減速が続く自国経済を支えるべく、景気対策として今後もインフラ投資を活用するとみられます。したがって、インフラ投資は伸びの継続が見込まれ、減少に転じる可能性は低いと思われます。
■鉱山ダムの決壊やサイクロンの襲来といった供給面における好材料は永続的なものではないため、積み出しなど活動の正常化が進めば、鉄鉱石価格は調整する可能性があります。しかし、中国のインフラ投資需要が継続するとみられることから、大幅な調整は免れると考えられます。
中国の粗鋼生産量
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鉄鉱石価格は調整の可能性あるが、豪ドルはしっかり
■豪政府は18/19年度(18年7月~19年6月)の鉄鉱石生産が▲1.1%の減少に転じたとの見通しを示しましたが、19/20年度(19年7月~20年6月)には+1.5%増加すると予想しています。したがって、鉄鉱石生産の減少が豪州経済に及ぼす悪影響については、過度な懸念は不要と思われます。
■鉄鉱石価格が調整すれば、豪ドル相場には下落圧力がかかる可能性があります。しかし、豪州準備銀行(RBA)の金融政策は当面、現状維持が予想されることや、所得税減税などの政策効果の発現が期待されること、米中の貿易協議は決裂を避ける方向で進められるとみられることなどから、総じて豪ドルはしっかりした展開が予想されます。
(2019年7月25日)
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