総資産価額はできるかぎり引き下げる
純資産価額方式は、「総資産価額」「負債価額」「評価差額に対する法人税等相当額」、そして「発行済み株式数」の4つの要素から株価を算出する評価方式です。株価は以下の計算式を使って算定します。
1株当たりの純資産価額=
{課税時期の総資産価額(相続税評価額)-課税時期の負債価額-評価差額に対する法人税等相当額}÷課税時期における発行済株式数
類似業種比準価額方式の純資産価額は帳簿上の額である「簿価純資産」を使いますが、純資産価額方式では財産評価基本通達により評価した相続税評価額による純資産価額を使用して算定します。
株価の評価額を引き下げるには、「総資産価額」をできるだけ減らし、「負債価額」「評価差額に対する法人税等相当額」の2つの要素を増やすことが必要です。
不動産の取得という「財の交換」が有効
「総資産価額」を下げるには、不動産の取得という「財の交換」が有効です。土地は、相続税財産評価通達上、路線価方式(または倍率方式)で評価することとされ、一般に、土地の路線価は、地価公示価格(≒時価)の8割程度の水準に設定されます。
例えば、1億円のキャッシュ(預貯金)で購入した土地は、路線価評価額で8000万円となり、資産2000万円を圧縮できるのです。ほかにも、純資産価額がマイナスになる「合併」や業績のよい事業を別会社にする「事業分離」などが、株価引き下げの有効な方法といえます。