主流は新設からリセール案件へ・・・太陽光発電投資の昨今事情

円建ての堅い投資対象として、すっかり定着した感のある太陽光発電投資。新設案件投資もまだまだ活発だが、水面化で加熱しているのが「リセール案件」である。本連載では、この太陽光リセール案件に焦点をあて、その取得・売却のポイントなどを解説する。

多くの事業者が参入する、現在の太陽光発電

いまや太陽光発電設備は珍しいものでありません。地価が高く、ビルも多い都市部では見かけるケースが少ないものの、少し地方に行くと、高速道路から大型の太陽光発電設備(メガソーラー)、営農型の太陽光発電設備(ソーラーシェアリング)、山肌に沿って設置されている太陽光発電設備など、様々な形態を見ることができます。筆者の仕事柄、目が行きやすいという点はあるものの、実際、多くの事業者が参入しているのは間違いないでしょう。

 

家庭用の太陽光発電が始まったころはまだコストも高く、どちらかといえば新しいもの好きのお金持ちや、地球環境を熱心に考える方などだけが設置していたと記憶しています。国は方針としてCO2削減を表明していましたが、実際の普及には、設置者と施工会社の双方にメリットがなければならず、国による買取(FIT)、補助金などが施行されていきました。

 

はじめは補助金が高く(東京都kw=10万円、区により更にkw=10万円など)、都内の戸宅(主に高級住宅街)を中心に設置が進みました。一般的な家屋屋根では3~4kw程度の設置で、当時は数百万円していましたが、前述の補助金、高い買取価格によって、設置者も十分に利益を享受できるようになったのです。

 

そして産業用の買取制度が始まったことで、太陽光発電の飛躍的な発展が始まります。家庭用が主だった当時は、狭い屋根や空き地などの狭小地に設置していたため、価格が高くても狭い面積で発電効率の良い国内メーカーが多用されていましたが、産業用に関しては広い敷地に数百枚、数千枚と設置することから、海外製の安価なパネル(モジュール)が重宝されるようになりました。

 

メーカー、施行会社、販売会社が乱立し、いたるところで太陽光の計画が進んで行き、挙句、許可も得ていない他人の土地に経済産業省の認定をかける業者なども跋扈したものです。そして、産業用の高い買取価格(FIT40円)が始まったときには、銀行、施行業者、そして実際にオーナーになる人さえも太陽光発電投資に対しては懐疑的でしたが、36円、32円の買取価格になる頃には、その利回り、安定性が評価され、手間が掛からないことなどもあって多くの地主、投資家が取り組むようになりました。

 

当初の太陽光発電設備は、地主が自分の所有している土地に設置するケースが多かったのですが、やがて土地付き太陽光発電設備の分譲販売などが普及していきます。このあたりになるとグリーン投資減税、生産性向上設備減税なども相まって、節税商品、高利回り商品として太陽光発電投資が認知されるようになり、今に至ります。

頭打ちの新設太陽光投資から、リセール投資へシフト

太陽光発電設備が増え続けるにつれ、売電金額の国民負担が大きくなってきたのも事実です(太陽光など再生可能エネルギーの売電制度は、最終的には国民負担によって賄われています)。国民負担をこれ以上増やさないため、先述の分譲販売の禁止、減税の終了、大幅増設の禁止といった逆風も吹く始めることになりました。3年ほど前から太陽光販売業者の倒産が増え続けているのは、以上のことも関わっています。

 

そのような環境の中、現在の買取価格は18円と、FIT開始当時の半分以下の買取価格になったにもかかわらず、マーケットでは表面利回り10%以上の太陽光投資案件が出てきては売れています。今は、メーカー、施行業者などの企業努力があり、利益率が下がる中でも新規の太陽光発電設備が作られ続けているわけですが、18円、15円・・・と下がり続ける買取価格にいつまで対応できるでしょうか。

 

機器のコストはまだ下げることはできても、施工など人的コストの削減は限界に来ています。やがて、新規の太陽光発電設備が作られることはなくなり、既設(リセール)の太陽光発電設備を売買することが想定されます。

 

100%償却などの減税利用終了、新規事業資金への投資、本業への資金シフトなど理由は様々ですが、現在のオーナーの皆さんからも、徐々に売却意向が伺うようになってきました。実際、筆者自身も直近で既設太陽光発電設備の売買仲介に携わりましたが、「資金を作りたい」という売主さんと、「太陽光発電設備を取得したいが、なかなか良い案件がない」という買主さんの双方に、非常に喜んでいただくことができました。

 

既設太陽光発電設備を購入するメリットとしては、完成している設備を確認して取得できる、今までの売電実績が確認できる、決済当日から売電代金を受け取れる、開発や地域にまつわる問題がないことなどが挙げられます。

 

筆者の周りの販売会社、施工会社を見渡しても、FIT18円でもまだまだたくさん作るぞと息巻く会社、そろそろ本業に戻ろうかと思案している会社、次の事業にシフトした会社など様々ですが、国や電力会社の方針、土地の入手の難しさ、下がり続ける買取価格の面から見る限り、今後、新設案件が減少していくことは間違いないと考えられます。

 

とはいえ、太陽光発電自体は地球環境に配慮した再生エネルギーであり、投資家サイドから見れば、手の掛からない、安定的な収益が見越せる優秀な投資商品でもあります。管理ができずに放置したり、OMが至らず周囲に迷惑をかけているような事例もあり、冒頭で太陽光発電設備をよく見かけるという話をしましたが、中にはひどい施工、ずさんな管理になっている設備も少なくありません。

 

現在、太陽光発電設備を所有しているオーナーの皆さんは、一度、ご自分の設備を見直してみてはいかがでしょうか。また、新規・中古にかかわらず、今後、太陽光発電設備の取得を検討している方は、必ず現場を調査することが大切です。

 

次回以降、実際にリセール案件を取得する際の注意点や、売却時のポイントなどを解説します。

株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング クリーンエネルギー室 室長

安藤証券株式会社、内藤証券株式会社にて個人・法人に対する株式・投信等の営業、株式ディーリングなどの証券業務に従事。
その後、太陽光発電事業を行う大手上場企業にて、太陽光パネル等の卸販売、太陽光発電所の販売・建設業務に従事。現場、部材、工事など発電所建設に必要な知識と経験を有す。2016年より現職。

著者紹介

連載水面下で過熱する「 太陽光リセール案件」の取得&売却の最新事情

  • 【第1回】 主流は新設からリセール案件へ・・・太陽光発電投資の昨今事情

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