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「月に4万~5万円」肩書なきあとの働き方
配達員としての実際の稼ぎについて尋ねると、「月に4万~5万円。頑張ると、10万円くらいになります」と高橋さん。生活費のために無理をして働くわけではありません。天候が悪い日や身体が重い日は稼働を控え、平日の昼間に2~3時間、多いときには8時間程度自転車を走らせるといいます。
上司や部下の顔色をうかがう必要もなければ、部下の育成や業績目標に追われる負担も存在しません。1回の配達でもらえる報酬は、平均して500円ほどだといいます。
「元部下に遭遇するとは思ってもみませんでした。しかし、あの驚いた顔……現役時代の私を知る人間からしたら、数百円の報酬のために汗水を流すなんて、想像できない姿なのでしょう」
総務省『労働力調査』によると、2025年、65~69歳の就業率は5割を超え、いまや2人に1人が何らかの形で仕事に従事している計算です。さらに70~74歳でも約3人に1人、75歳以上においても1割以上が就業を継続する実態が明らかになっています。
従来の「定年=完全リタイア」という固定観念は薄れつつあり、60代後半以降もそれぞれの目的や体力に応じて労働に関わり続けるスタイルが確実に定着してきました。
「仕事とはいえ、趣味のようにできるので、本当に楽しい。体力が続く限り、続けたいですね」
十分な資産や年金があっても、世間体や過去の肩書に縛られていては、退職後の長い日々に本当の充足感を見出すことは難しいものです。周囲の視線を気にせず、自らの心身の健康と心地よい生活リズムのために汗を流す――その潔い選択は、定年後の人生設計における“豊かさ”を物語っています。