(※写真はイメージです/PIXTA)
「民泊」はダメ。でも「マンスリー」なら大丈夫?
まず、賃貸借契約は住居専用です。私だけでなく、歴代所有者についても、マンスリー営業を承諾した書面は確認できませんでした。次に、マンションの管理規約です。このマンションでは宿泊業が禁止されています。さらに家賃保証会社に確認すると、保証契約も住居用のままでした。
そして、旅館業法の問題です。
ここで考えていただきたいのが、「民泊」と「マンスリーマンション」の違いです。マンションの住民や管理組合は、「民泊」と聞けば警戒するでしょう。ところが、「マンスリーマンション」と聞けば、普通の賃貸住宅だと思って、それほど気にしないかもしれません。
しかし、重要なのは名称ではなく、実際の営業内容です。
例えば、1週間単位で利用者を募集し、不特定多数の人を繰り返し宿泊させる営業であれば、旅館業法の許可が必要になる場合があります。必要な許可を取得せずに宿泊営業をしていれば、名前がマンスリーマンションでも、実態は「ヤミ宿泊業」です。
今回の物件でも、1か月未満の短期利用プランが掲載されていました。こうした募集や実際の利用が旅館業法上どのように扱われるのか、確認が必要です。
住居専用の賃貸借契約、宿泊業を禁止する管理規約、所有者の承諾、住居用の家賃保証契約、そして旅館業法。
調べるほど、さまざまな問題が見えてきたのです。
大家だけでなく、マンション居住者にも知ってほしい
今回の問題は、大家だけの問題ではありません。同じマンションに住む人たちにとっても、火災や事件・事故など、安全に関わる問題です。
短期宿泊者が頻繁に入れ替われば、建物の設備や避難経路を十分に知らない人が利用することも考えられます。管理組合や管理会社が、実際の利用状況を把握しにくくなる可能性もあります。
特に注意していただきたいのは、大都市の駅近にあるワンルームマンションです。交通の便がよく、短期滞在者にも利用しやすいため、こうした営業の対象になりやすいと考えられます。
現在、私は賃貸借契約違反を理由に訴訟を提起しており、裁判が続いています。また、旅館業法上の疑義や建物の安全管理について、警察、保健所、消防などの関係機関にも情報提供し、対応を求めています。
大家の皆さんは、ご自身の所有物件がマンスリーマンションの予約サイトなどに掲載されていないか、確認してみてほしいと思います。
マンションにお住まいの方も、不特定多数の人が頻繁に出入りするなど、不審な利用が見られ、無許可の宿泊営業が疑われる場合には、管轄の保健所に情報提供をお願いします。
実際に旅館業法違反に当たるかどうかは、行政が調査して判断することです。火災や事件・事故が起きてからでは遅いのです。
竹下 昌成
竹下FP事務所 代表
日本FP協会認定CFP・TAC講師