(※写真はイメージです/PIXTA)

連休や年末年始は、離れて暮らす家族が実家に集まる機会です。しかし、帰省を迎える側には、食事や寝具の準備、掃除など、普段とは異なる負担が生じます。特に親が高齢になり、同居する子どもが家事や生活費を担っている場合、帰省する家族との間に不満が生まれることもあるでしょう。長年続いてきた家族の習慣が、思わぬ対立につながる場合もあります。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「私だって休みたい」実家を空けるようになった本音

昨年の秋の連休前、佳奈さんは母から頼まれました。

 

「美咲たちが来るから、いつもの部屋を片付けておいてくれる?」

 

その日は仕事が忙しく、帰宅が遅くなる予定でした。佳奈さんが「今週は時間がないから、当日にみんなでやってほしい」と伝えると、芳江さんは困った顔をしたそうです。

 

「でも、子どもたちもいるし、美咲も大変でしょう」

 

その言葉に、佳奈さんは思わず聞き返しました。

 

「私だって仕事をしているんだけど。連休くらい休みたいよ」

 

芳江さんは驚いた様子でした。佳奈さんがこれほど負担に感じているとは、思っていなかったのです。

 

結局、その連休は妹一家が来る前日に、佳奈さんが一人でビジネスホテルに泊まることにしました。母には「今回は自分の予定を優先する」と伝え、食事の準備も妹一家に任せました。

 

「家にいると、結局あれこれ頼まれるので。思い切って出かけることにしたんです」

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』では、65歳以上の人のうち、子どもと「同居したい、同居を続けたい」と回答した割合は23.2%、「同居ではなく近居したい」は32.8%でした。親子の住まい方についても、さまざまな希望があることがうかがえます。

 

ホテルで過ごした佳奈さんは、久しぶりに誰にも予定を合わせずに過ごせたそうです。

 

翌日、母から電話がありました。

 

「夕飯の支度が思ったより大変だったわ。いつも佳奈に任せきりだったのね」

 

妹一家が帰った後、美咲さんからも連絡がありました。

 

「お姉ちゃん、いつも準備してくれてたんだね。今回やってみて分かったよ」

 

佳奈さんは、これまで感じていた不満を初めて妹に伝えました。

 

「帰ってくるのはいいけど、準備も片付けも自分たちでやってほしい。食費だって、全部こっちで出すのはおかしいと思う」

 

美咲さんは謝り、次回からは食材を持参し、布団の準備や片付けも自分たちで行うと約束しました。

 

ただ、佳奈さんは今後も連休の一部を外で過ごそうと考えています。

 

「母と妹たちが一緒に過ごす時間も大事でしょうし、私は私で休みたいんです」

 

親と同居していると、日常の家事や生活の支援が、そのまま家族全員のための役割になってしまう場合があります。

 

帰省する側が気づかないところで、準備や費用を負担している人がいるかもしれません。家族で集まる機会を気持ちよく続けるためにも、誰が何を担うのかを話し合い、一人に負担が偏らないようにすることが大切でしょう。

 

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