「私だって休みたい」実家を空けるようになった本音
昨年の秋の連休前、佳奈さんは母から頼まれました。
「美咲たちが来るから、いつもの部屋を片付けておいてくれる?」
その日は仕事が忙しく、帰宅が遅くなる予定でした。佳奈さんが「今週は時間がないから、当日にみんなでやってほしい」と伝えると、芳江さんは困った顔をしたそうです。
「でも、子どもたちもいるし、美咲も大変でしょう」
その言葉に、佳奈さんは思わず聞き返しました。
「私だって仕事をしているんだけど。連休くらい休みたいよ」
芳江さんは驚いた様子でした。佳奈さんがこれほど負担に感じているとは、思っていなかったのです。
結局、その連休は妹一家が来る前日に、佳奈さんが一人でビジネスホテルに泊まることにしました。母には「今回は自分の予定を優先する」と伝え、食事の準備も妹一家に任せました。
「家にいると、結局あれこれ頼まれるので。思い切って出かけることにしたんです」
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』では、65歳以上の人のうち、子どもと「同居したい、同居を続けたい」と回答した割合は23.2%、「同居ではなく近居したい」は32.8%でした。親子の住まい方についても、さまざまな希望があることがうかがえます。
ホテルで過ごした佳奈さんは、久しぶりに誰にも予定を合わせずに過ごせたそうです。
翌日、母から電話がありました。
「夕飯の支度が思ったより大変だったわ。いつも佳奈に任せきりだったのね」
妹一家が帰った後、美咲さんからも連絡がありました。
「お姉ちゃん、いつも準備してくれてたんだね。今回やってみて分かったよ」
佳奈さんは、これまで感じていた不満を初めて妹に伝えました。
「帰ってくるのはいいけど、準備も片付けも自分たちでやってほしい。食費だって、全部こっちで出すのはおかしいと思う」
美咲さんは謝り、次回からは食材を持参し、布団の準備や片付けも自分たちで行うと約束しました。
ただ、佳奈さんは今後も連休の一部を外で過ごそうと考えています。
「母と妹たちが一緒に過ごす時間も大事でしょうし、私は私で休みたいんです」
親と同居していると、日常の家事や生活の支援が、そのまま家族全員のための役割になってしまう場合があります。
帰省する側が気づかないところで、準備や費用を負担している人がいるかもしれません。家族で集まる機会を気持ちよく続けるためにも、誰が何を担うのかを話し合い、一人に負担が偏らないようにすることが大切でしょう。
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