(※写真はイメージです/PIXTA)

年金生活では、大きな買い物を控え、日々の支出に気を配っている人も多いでしょう。それでも、長年暮らした家の修繕や家電の故障など、予定外の出費が重なることがあります。さらに食料品や光熱費の値上がりによって、以前と同じ生活を続けるだけでも支出が増える場合があります。気づかないうちに貯蓄が減り、老後の生活設計を見直す人もいるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「大きな買い物はしていないのに」通帳を見て驚いた80歳女性

「こんなに減っているなんて、思わなかったんです」

 

そう振り返るのは、80歳の節子さん(仮名)です。

 

節子さんは10年前に夫を亡くし、現在は地方都市の戸建てで一人暮らしをしています。自宅は夫と40年以上前に購入したもので、住宅ローンはすでに完済しています。

 

受け取っている年金は、自身の老齢年金と遺族厚生年金を合わせて月約14万円。75歳の時点では、約500万円の預貯金がありました。

 

「家賃もかからないし、一人で暮らすには十分だと思っていたんです。外食もほとんどしませんし、旅行にも行きませんから」

 

節子さんは昔から倹約家でした。食材は特売日にまとめて購入し、衣類も必要なときにしか買いません。趣味は自宅での読書と、近所の友人とのおしゃべりです。

 

ところが80歳を迎えた今年、銀行で通帳を記帳したところ、残高は約190万円になっていました。5年前と比べて、310万円も減っていたのです。

 

「何か高いものを買ったわけでもないのに、どうしてこんなに減ったのかしら」

 

不安になった節子さんは、近くに住む52歳の長女・直美さん(仮名)に相談しました。

 

「お母さん、毎月どのくらい使っているの?」

 

そう尋ねられても、節子さんはすぐに答えられませんでした。

 

年金が振り込まれる口座から生活費を引き出し、足りなくなれば貯蓄用の口座から移す。長年、その方法でやりくりしていたからです。

 

直美さんと一緒に過去の通帳や領収書を確認すると、いくつもの支出が見つかりました。

 

まず3年前には給湯器が故障し、交換に約28万円。翌年には台所の水漏れが発生し、床の一部を含む修理に約45万円かかっていました。

 

さらに、昨年は雨どいの破損と屋根の補修で約62万円を支出しています。

 

「古い家だから仕方ないと思って、その都度払っていたんです」

 

これだけで合計135万円です。ほかにも冷蔵庫や洗濯機の買い替え、固定資産税、火災保険料などがありました。

 

しかし、直美さんが気になったのは、こうしたまとまった支出だけではありませんでした。

 

「お母さん、毎月の生活費も、前より増えていない?」

 

節子さんは首をかしげました。

 

「そんなに変わっていないと思うけど……」

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