「独身だし余裕あるでしょ?」妹一家の帰省が憂うつな理由
43歳の佳奈さん(仮名)は、地方都市の企業で事務職として働いています。年収は約560万円。75歳の母・芳江さん(仮名)と実家で2人暮らしです。
父親は8年前に亡くなりました。佳奈さんはそれ以前から実家で暮らしていましたが、父の死後は母の生活を支える役割が大きくなったといいます。
毎月の生活費として母に8万円を渡し、食材の買い出しや重い荷物の運搬、庭の手入れなども担当。芳江さんは身の回りのことを自分でできますが、車を運転しないため、通院の送迎も佳奈さんが引き受けています。
「母と暮らすのは嫌じゃないんです。仕事から帰ったら夕飯ができている日もありますし、お互い助け合っていると思います」
佳奈さんには、39歳の妹・美咲さん(仮名)がいます。夫と小学生の子ども2人と暮らしており、実家から車で約2時間の場所に住んでいます。
問題が起きるのは、妹一家が帰省する連休でした。
「最初は母も孫に会えるのを楽しみにしていたし、私もにぎやかでいいと思っていたんです」
ところが、ここ数年は連休のたびに2泊3日ほど滞在するようになり、佳奈さんの負担が増えていきました。
妹一家が来る前には、使っていない部屋の掃除や布団の準備が必要です。滞在中は大人4人と子ども2人の食事を用意し、洗濯物も普段の倍以上になります。
芳江さんも台所に立ちますが、長時間の作業は疲れるため、佳奈さんが中心になって動くことが多かったそうです。
「妹は子どもの相手で忙しいと言って、ほとんど台所に来ないんです。夫婦で買い物に出かけることもあって、その間は私が子どもたちを見ています」
食費も気になっていました。
以前の連休には、焼き肉用の肉や飲み物、お菓子などを佳奈さんが買いそろえ、3日間で約3万円を負担したこともあります。
美咲さんからは「ありがとう」と言われましたが、費用を分担する話にはなりませんでした。
「お姉ちゃんは独身だし、時間もお金も余裕があるでしょう?」
あるとき、美咲さんが何気なく口にした言葉が、佳奈さんの心に残りました。
佳奈さんには、預貯金と投資信託を合わせて約2,300万円の金融資産があります。22歳で就職して以来、実家に生活費を入れながら貯蓄を続け、30歳ごろからは投資信託の積立も始めました。
現在の内訳は預貯金約1,100万円、投資信託の評価額約1,200万円。賞与の一部も積立に回し、長年の貯蓄と運用によって築いてきた資産です。
「独身だからお金が余っていると思われることもありますけど、将来のために少しずつ貯めてきたお金なんです」
妹も佳奈さんにまとまった金融資産があることは知っていました。
「貯金があるからといって、妹一家の帰省費用まで出したいわけじゃないんです」
佳奈さんは、次の連休が近づくにつれて気が重くなるようになりました。
