「そんなに使っていたなんて」娘と家計を確認して分かった事実
直美さんと家計を確認してみると、節子さんの生活費は5年前より増えていました。
以前は食費が月約3万円でしたが、最近は約4万円。電気代やガス代も上がり、光熱費は月平均で約5,000円増えていました。
さらに、足腰に負担を感じるようになってからは、重いものを買う際に宅配サービスを利用することが増えました。
「お米や飲み物を運ぶのが大変でね。配達してもらえると助かるから」
注文する商品や配送料を合わせると、以前より月数千円ほど支出が増えていたそうです。
節子さん自身は贅沢をしているつもりはありませんでした。食べる量が増えたわけでも、特別なものを買うようになったわけでもありません。
それでも、税金や社会保険料を含めた支出は、最近では月平均約16万5,000円に達していました。
年金収入14万円との差は、月約2万5,000円。単純計算で年間約30万円の赤字です。
総務省統計局『家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の単身無職世帯の可処分所得は月平均11万8,465円、消費支出は14万8,445円で、月2万9,980円の不足となっています。高齢者の一人暮らしでは、日常的な支出が収入を上回るケースも珍しくありません。
節子さんの場合、5年間で約135万円の住宅修繕費がかかったうえ、家電の買い替えなどに約35万円を支出。さらに、日々の生活費の不足分として約140万円を取り崩したことで、貯蓄が約190万円まで減った計算でした。
「修理代は仕方ないと思っていたけど、毎月少しずつ足りていなかったことには気づきませんでした」
直美さんは、節子さんが無理に食費を削ろうとするのを止めました。
「お母さん、ちゃんと食べることは大事だから。まずは何にいくら使っているか、一緒に見ようよ」
その後、節子さんは毎月の支出をノートに記録するようになりました。利用していなかった有料サービスを解約し、通信費も見直しています。
また、今後も自宅で暮らし続けるため、修繕が必要になりそうな場所を業者に点検してもらうことにしました。
「お金を使わないようにしているつもりでも、それだけでは足りなかったんですね」
年金生活では、住宅の維持費や家電の買い替えなど、毎月の家計簿だけでは把握しにくい支出も発生します。物価の変化や年齢による生活習慣の変化が、家計に影響することもあるでしょう。
貯蓄を長く維持するためには、日常の生活費に加え、数年に一度発生する支出も見込んでおくことが重要です。定期的に収支と貯蓄残高を確認し、必要に応じて生活設計を見直すことが求められます。
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