(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが独立した後も、長年暮らした戸建てに住み続ける夫婦は少なくありません。住宅ローンを完済していれば、住居費の負担も軽く感じられるでしょう。しかし、建物が古くなるにつれて修繕費がかさみ、掃除や庭の手入れが負担になることもあります。住み替えを考えたとき、家に思い入れのある子どもから反対されるケースもあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「帰省するのは年に数回でしょう」夫婦が娘に伝えた本音

娘の反対を受け、隆志さん夫婦は一度、売却の話を保留にしました。

 

しかし、数ヵ月後、明子さんが2階の掃除中に階段で足を滑らせそうになったことがありました。けがはありませんでしたが、手すりにつかまりながら階段を下りる妻を見て、隆志さんは今後の暮らしを改めて考えたといいます。

 

「この先、もっと年を取ったら、家の管理はどうなるんだろうと思ったんです」

 

夫婦は再び真理さんに相談しました。

 

「お前たちが帰ってくるのは年に数回だろう。そのために、これからもずっと広い家を維持するのは大変なんだよ」

 

真理さんはしばらく黙っていましたが、明子さんが庭の手入れや階段の負担について説明すると、少しずつ考えが変わったそうです。

 

「そんなに大変だとは知らなかった。お母さん、前は庭仕事が好きだったから」

 

結局、夫婦は自宅を約1,600万円で売却。諸費用を差し引いた資金と貯蓄の一部を使い、駅やスーパー、病院に近い中古の2LDKマンションを購入しました。

 

新居はエレベーター付きで、日常の買い物は徒歩で済ませられます。

 

「今は掃除もすぐ終わるし、庭の草取りもありません。出かけるのも楽になりました」

 

明子さんは、以前より気軽に外出できるようになったと話します。

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、60歳以上の人が現在の住まいで感じている問題として、「住まいが古くなり、いたんでいる」が29.5%、「家賃、税金、住宅維持費など住宅に関する経済的負担が重い」が15.5%、「住宅が広すぎる」が10.4%でした。

 

住み替えから半年後、真理さん一家が新居を訪ねてきました。

 

「前の家より狭いけど、駅から近いし便利だね」

 

そう話す娘に、隆志さんは笑って答えました。

 

「俺たち2人には、これくらいで十分なんだよ」

 

真理さんも、実際に新しい住まいを見て、両親の選択に納得したようです。

 

「最初は寂しかったけど、お父さんとお母さんが暮らしやすいなら、それが一番だね」

 

長年暮らした家を手放す際には、家族それぞれの思いが異なることもあります。特に子どもにとっての実家は、帰省先であると同時に、幼いころの記憶が残る場所でもあります。

 

一方、高齢期の住まいでは、建物の維持費や日常の管理負担、買い物や通院の利便性などを考える必要があります。住み替えを検討する際には、家族の希望も聞きながら、実際に暮らす人が今後も無理なく生活できる環境を選ぶことが大切でしょう。

 

【関連記事】

■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

 

 

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧