「これなら一生暮らせる」老人ホームを選んだ80歳夫婦
「月額25万円と聞いて、これなら何とか払えると思ったんです。貯金もありましたから、あまり心配していませんでした」
そう話すのは、80歳の義夫さん(仮名)です。妻の佐和子さん(78歳・仮名)と、5年前から介護付き有料老人ホームで暮らしています。
長年大手メーカーに勤務し、65歳で退職。夫婦の公的年金は合わせて月約30万円で、入居前の預貯金は約7,000万円ありました。
「自宅で暮らし続けることも考えましたが、年齢を重ねてから家の管理をするのは大変だろうと思ったんです」
夫婦が選んだのは、食堂や談話室が充実し、看護職員による健康管理も受けられる施設でした。見学した際には、広々とした共用スペースや季節ごとの行事も気に入ったそうです。
入居にあたっては、夫婦で同じ居室を利用できるプランを選びました。
入居一時金は2人で2,000万円。月額利用料は、家賃相当額や管理費、食費などを含めて約25万円です。
「入居一時金を払っても、貯金は5,000万円残ります。毎月の利用料も年金で賄えるので、安心だと思いました」
当時、夫婦はともに身の回りのことを自分でできる状態でした。
施設の担当者からは、介護保険サービスを利用するようになった場合の自己負担や、医療費などが別途必要になることも説明されていました。ただ、義夫さんは「まだ元気だから、しばらくは関係ないだろう」と考えていたといいます。
入居後の生活は快適でした。食事の支度や掃除の負担が減り、夫婦で施設の催しに参加することも増えました。
「家にいたころより人と話す機会が増えましたし、妻も楽しそうでしたね」
ところが、入居から3年ほどたったころ、佐和子さんが転倒して骨折。入院とリハビリを経て施設に戻ったものの、以前のように自由に歩くことが難しくなりました。
要介護認定を受け、日常生活で介助を必要とする場面が増えていきます。
さらに翌年には、義夫さん自身も体調を崩し、要支援認定を受けることになりました。
「2人とも元気なつもりでしたが、少しずつできないことが増えてきたんです」
そして入居5年目、義夫さんは長女からの勧めで、施設の利用明細と預金通帳を改めて確認することにしました。
そこで、毎月の支出が想像以上に増えていることに気づいたのです。
