「休みの日くらい自由にさせて」母との同居で増え続けた負担
「母からは、薄情な娘だと言われました。でも、もう一緒に暮らすのは限界だったんです」
そう話すのは、54歳の理恵さん(仮名)です。
理恵さんは独身で、都内の企業に正社員として勤務しています。月収は額面で約40万円。長年、母親の文子さん(79歳・仮名)と実家で2人暮らしをしてきました。
父親は12年前、72歳で亡くなっています。文子さんは月約13万円の公的年金を受給しており、住宅ローンを完済した一戸建てに住んでいます。
理恵さんは毎月5万円を生活費として母親に渡し、食材や日用品も必要に応じて購入していました。
「以前は母が食事を作ってくれることも多かったんです。仕事から帰ると夕飯が用意されていて、ありがたいと思っていました」
ところが、文子さんが70代半ばになったころから、家事を負担に感じることが増えていったそうです。
理恵さんもできる限り手伝うようになり、平日の夕食作りや掃除、洗濯を担当するようになりました。
「母も年齢を重ねていますし、家事が大変になるのは仕方がないと思っていました。ただ、私がやるのが当たり前になっていったんです」
理恵さんの仕事は忙しく、帰宅が午後8時を過ぎることも珍しくありません。それでも帰宅後に夕食を作り、洗い物や翌日の準備を済ませる日が続いていました。
休日にはまとめて掃除をし、母親の買い物や通院にも付き添います。
「休みの日くらいゆっくりしたかったんですが、母から『明日は買い物に連れていってね』と言われると、断りにくかったですね」
文子さんは足腰に多少の衰えがあるものの、身の回りのことは自分ででき、近所のスーパーにも歩いて行けます。しかし重い荷物の買い物や遠方への外出は、理恵さんに頼ることが増えていました。
ある日、理恵さんが仕事の疲れから休日の買い物を断ると、母親は不満そうに言ったそうです。
「一緒に住んでいるんだから、少しくらい手伝ってくれてもいいでしょう」
理恵さんは、それまで我慢していた気持ちを口にしました。
「私だって毎日働いてるんだよ。休みの日くらい、自分の好きなことをしたい」
すると文子さんは、「親の面倒を見るのがそんなに嫌なの?」と返したといいます。
「母は悪気がなかったのかもしれません。でも、その言葉を聞いて、もう一緒には暮らせないと思いました」
理恵さんはその後、職場に近い賃貸マンションを探し始めました。
